ボクの考え
結局乾君は一週間まるっきり学校にも塾にも姿を現さなかった。
さすがにこんなに長く来なかったのは初めてだから、とても心配だった。
雨の日に見た乾君も多分、本当に乾君のような気がしてならなかった。
違うと信じたいけど…。
ボクは夢を見た、とても嫌な夢を。
夢なんてしょっちゅう見るものだけど…。
あまり気にするものではないけれどまるで現実のような、実際に起こっているかのようなリアルな夢だった。
正直、怖かった。
夢を見て起きた後に、怖いと感じることはそんなにはない。
でもあくまで夢だから、現実に起こるとは限らない。
忘れることにしよう。
今のボクが必死に考えないといけないことは、これからの彩夏音への接し方だ。
彩夏音に警戒されないように、こっちは味方で信頼できるということを…。
幸い最近の彩夏音はボクに心を開きかけてくれている。
いざという時、ボクのことを信じてもらえるように、彩夏音にうまく寄り添えるようにならなくては…
。
それにしても一体、あれはどこにいってしまったのか…。
週明け、学校に着くとすでに乾君は学校に来ていた。
私の顔はパアッと明るくなった。
「おはよう!」
というと、乾君も変わらず、
「おはよう!」
と返してくれた。
「実は遠くに住んでいる親戚が亡くなったから、そこに行ってたんだよ。」
「そうだったんだ…、大変だったね。」
あの雨の日のことを聞こうか心の中で迷った。
「学校も塾も休んだ分、頑張らないと!」
って言う乾君に
「乾君なら全然大丈夫でしょう!」
と返した。
「そんなことないよ。」
と笑顔で答えてくれた。
きっとあれは乾君じゃないよ…。
遅れて登校してきた望優も会話に入り、久しぶりに盛り上がった。
楽しかった、
このままずっとこの時間が続けばいいのに…。