前向き!
久しぶりの登校の帰り、
「そうだ!乾君携帯電話の番号交換しない?」
と望優が言った。
えっ!という感じで一瞬戸惑ったようにみえた乾君、
「ごめん、僕携帯電話持ってないんだ。」
「今時おかしいよね!?」
「そんなことないよ、持ちたくない人もいるよ。」
と望優が明るく答える。
私は、本当は持っているけど、教えたくないだけなのかな?
なんて、またマイナス志向に考えてしまう。
望優を見習って、前向きに考えなきゃ。
と思っていると、望優が
「乾君、本当に持ってないのかな?」
とつぶやく。
望優まで同じようなこと考えてる。
って言うか、望優もそんな風に考えることもあるんだ、って思うと思わず笑いそうになった。
「持っていてもいなくても、どっちでもいいじゃん。」
と笑って答えた。
例えば本当は持っていたとして、今はまだ誰にも教えたくないだけかもしれないし。
でも確かに乾君が携帯電話を持っているところを見たことないし、案外本当に持ってないのかも。
そういう古風な感じの乾君も好き!
これから、もっと親しくなれたらな。
それに考えてみたら、よく一緒に帰るし、乾君といる時間が一番長いのは私達かも、なんて。
良い方に考えよう!
ボクはただ彩夏音のことが心配だった…。
ボクが犬に変装してそばにいた時、彩夏音は本当に優しくて、純真で人を疑うことを全く知らない女の子だと思った。
最近転校して来た、彩夏音に近付こうとしている謎の少年のことがとても気がかりだ。
できる限り捜査の手は広げているが、今のところ彼に関するデータは全く見当たらない。
何かが引っかかる…。
以前、どこかで会ったことがあるような...。