突然のはじまり
「彩夏音!
誕生日おめでとう!」
「今日で彩夏音も、もう15歳かぁ!
早いなぁ。」
とお父さんが感慨深げ。
「もうお父さんったら~!」
ってお母さん。
私、笹崎彩夏音と妹の彩耶夏は二人とも8月の真夏に産まれたので、名前に夏がついている。
とても仲良し姉妹で、いつも一緒。
ある休日、私は飼い犬のハロと遊んでいると、偶然クローゼットの奥に何かキラキラ光る物を見つけた。
「なんだろう!」
って私が拾うと見たこともない綺麗なペンダントだった。
「キレイ~、お母さんのかな?」
お母さんずるいよ、こんなキレイなペンダント持っているの内緒にしてるなんて。
と思いながらペンダントを手にとると、まぶしいくらいピカピカ光りだした。
私が首にかけてみると、不思議ともっとキラキラ輝いた。
「これ、ひょっとして私の誕生日プレゼントかな?
まさかね、ラッピングしてないし、でも私のものにしたい。」
って思っていると妹の彩耶夏が、「お姉ちゃん。」
と呼んだ。
ドキっとしながら振り返ると、
「何してるの?」
って。
「なんでもないよ!」
と答えると、
「ウソ!
今何か隠した!」
と言い、勘がするどいなぁ。
仕方ない。
いつかみつかるんだから素直に見せようと、
「これ!
ペンダント!」
と見せた。
すると、彩耶夏が
「はっ?
お姉ちゃん頭おかしいんじゃないの?」
って言われわけもわからず、
「何が?」
って言い返すと、
「だってペンダントなんてどこにもないじゃん!」
「えっ!」
ひょっとして、今私がかけてるペンダントが見えないの?
「変なお姉ちゃん。」
と彩耶夏は部屋を出ていった。
頭の中が混乱したけど、落ち着いて考えてみよう。
どうして、彩耶夏にこのきれいなペンダントが見えないの?
私にだけ見えるの?
それとも彩耶夏にだけ見えない?
「どういうこと~?!」
まさか呪いのペンダントとかじゃないよね?
と急に怖くなって、ペンダントを離そうとした。
けれどなぜか離れない。
どうしよう、本当に困った。
誰にも見えないのに、外してなんて言えないし。
困っていると、後ろから声が聞こえた。
「大丈夫、そのペンダントは怖い物じゃないよ。
君の御守りみたいなものだよ!」
後ろを振り返っても、誰もいない。
やっぱりこれは呪いのペンダントなんだぁ~!
と、泣きそうになっていると、ハロがペロペロってなめてきた。
そして、
「大丈夫。」
って言った。
「えっ?!」
さっきの声ってハロだったの?
どうして、ハロがしゃべれるの?
ハロはもちろん普通の犬だから、しゃべったことなんて一度もない。
「ハロ、どうしてしゃべれるの?」
「彩夏音のそのペンダントだよ」
「えっ?
このペンダントの力なの?」
ハロがうなずく。
「どうして?」
みんなには見えないし、ハロはしゃべれるし、一体何なの?
不思議過ぎて、私の頭の中はパニック寸前。
そうしていると、ハロが
「彩夏音、やっと見つけてくれたね。」
「どういうこと?」
「彩夏音が見つけてくれるのを、この魔法のペンダントはずっと待ってたんだよ。」
「えっ、魔法?」
「そうだよ、このペンダントは魔法のペンダントなんだよ。
彩夏音が15歳になって、見つけてもらうのを待ってたんだよ!
でも大丈夫。
本当に怖い物とかじゃないから!
って、急に言われてもびっくりするよね?
実は僕、アルーノっていう星から来たんだ。」
「 …はっ?」
「僕の星、アルーノはとても文明が発達していて、この地球にも自由に来れるんだよ!」