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 目が覚めたらヒゲ面にわめかれていた私。たぶん松野祐子。

 身長160cm、出るところは出てない。そんな自慢しようのないボディのそのまま…と思ったら、そっちは別人だ。

 鏡がないので顔は不明だけど、出るところはすっごい出て、足元が隠れる。そして歩くと、自分のものではない脚が動く。おかしい。

 選択肢は三つ。

 その一、幽体離脱。その二、視力が落ちた。その三、悪夢。おお、これは三しか選べませんねっ!


(一人遊びは楽しい?)


 いーえ全く。

 さっきから私を無遠慮に呼ぶ声。水をさされた気分で、その何者かの脚を動かす。扉を開けた先には、板の間の部屋があった。

 木の格子窓、机も椅子も木製。ものすごくレトロな建物のようだけど、どこなんだろう。


(座って)

「は、はい」


 相変わらず謎の声に従って、扉に近い椅子に腰をおろす。

 ものすごい違和感。確かに座ったのに、まだ中腰のような感覚。

 理由は言うまでもない。


(身体の調子はどう? なじんでる?)

「え、ええ」

(幽体離脱しない?)

「す、するわけないでしょう」

(そう?)


 おかしなことを聞く声。その一は真っ先に捨てた選択肢なのに、最後の声なんて、本気で驚いているように聞こえた。幽体離脱って、どこの怪談話だって。

 …………。


(窓際の棚の扉の中に鏡があるわ。見たら?)

「…あ、ありがとう」

(礼儀正しい人ね)


 こちらの違和感に気づかれてしまった。でも仕方ないでしょ?

 慌てて言われた場所に向かい、小さな戸棚の扉を開けて、そしてしばらく固まった。

 ……………。

 だ、誰?


 その鏡は小さく、全身はよく分からない。だけど、背の高さが違うのはすぐに気づく。

 髪は黒髪のまま。長さも肩に掛かるぐらいで変わらない…けど、顔が変わっている。少しだけ輪郭の円みがなくなって、目はちょっと大きくて……、何もかも少しずつ違う。


(確認は済んだ?)

「こ、この顔はいったい何!?」

(その話は今からするけど、長くなるから座って。あ、それと、足元に冷蔵庫があるから、適当に飲み物選んで)


 冷蔵庫…と自分の足元を確認すると、戸棚の下の方に大きめの扉。木の扉なんだけど…と開けてみると、まさかの冷蔵庫が本当にあった。

 中にはペットボトルが数本入っている。とりあえず水らしきものを取ってみる。

 ………。

 「出羽山地天然水」と書いてある。何これ。



 とにかく、言われるままにさっきの椅子に座り、水を飲んだ。水は冷たく、そしてなんの変哲もなかった。

 違和感だらけのここで、その当たり前の感覚にほっとする。


(では祐子さん。話を始めましょうか)

「よ、よろしくお願いします」


 すると、窓際の辺りがふっと暗くなり、何かが現れた。

 それは人の形をした闇。お化け?


「この姿で勘弁してね。一応、ここでは姿は見せられないことになってるから」

「は、はぁ」


 しかし、闇のお化けは流暢にしゃべり出す。口に相当する辺りに穴が開いて、それがしゃべりに合わせて動くので落ち着かないけど、どうやら謎の声の人のつもりらしい。


「ではまぁ、一応お決まりの言葉から。この星へようこそ、祐子さん。とってもイレギュラーだけど、一応は歓迎するわ」

「え、ええ…」


 一応って二回も言ったよね? ちっとも歓迎されてないよね。


※今のところ習作扱いなのでサブタイトルなし。プロローグはしばらく続きます。

 昨今はタイトルと一話目ですべて分かるように書くのが主流らしいけど、そうやってクソくだらない駄作が量産されている状況が続くのかなぁ、と思う。

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