第十六週:運命と寄生蟲(火曜日)
さて。昨日書いたような遺伝子――発現次第で銀河の歴史を変えてしまうような遺伝子――がレフグリス=リアスの中に本当にあったとして、それがどうして『運命の人』や『一夫一妻』へのこだわりに繋がるのだろうか?
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「うちとこの若いんによると――」と、セトルドウン星第一皇女が、そのピンクの髪の毛をカワイク結び直しながら言った。「そのタマが玉から出るんは一生に一度だけらしい」
その皇女の言葉を聞いたゲンヒル星系統一王女は、「まあ、タマタマだなんて……」と、鋼の頬を赤く染めながら言った。「でも、私どもの研究者も同様の事を申してましたわ」
プシ。と、ここで軌道エレベーターの扉が開き、ワダツミの翁の入江に落ちる夕陽が彼女たち求婚者(第一便の八名)を照らした。
「なるほどね――」と、三番目の目を光らせながらグラエル連合正統後継者の女性は言った。「その大切な一回を、どこの馬の骨とも知れない女に取られないため、あそこの家は『一夫一妻』にこだわってるってワケか」――まあ、科学が自然に追い付いてないってのは知っているが……しかし、面倒だなあ。
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「状況は以上のとおりですが――」と、エルテス王直属執務官が言った。「中には今回のレフグリス王子来星を我が惑星の抜け駆け工作だと仰られている艦もありまして……」
「艦?」と、王が訊き返した。来たのは王女・皇女たちではないのか?「戦艦が?」
「三十六名の中には戦闘種族の方も十数名おられまして……」と、困惑気味の執務官。「我が王都に砲を向けている艦もあるようです」
「クワランへの係留は?」と、王。
「計五十四隻もの船を留められるスペースはそもそもありませんし……」と、執務官。
「分かった……」ため息交じりに王が言った。「王都全域に理力フィールドを張っておけ」
(続く)




