第十六週:運命と寄生蟲(月曜日)
「それでは、さっさとお一人にお決めになれば良い」と、ジュージャ・ミシトース・エルテスは言った。「そうすれば、私も含め、残りの三十七名も諦めが付くでしょう」
そう云う彼女の声にはトゲ……と云うか、レフグリス=リアスに対する明らかな敵意と侮蔑……と云うか、まあ、『男って本当にバカね』と云う気持ちが含まれていた。
「理屈ではそうかも知れませんが――」と、レフグリス。「私は、たった一人の運命の女性に、この心も体も捧げたいのです」
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さて。このレフグリスの発言にジュージャ姫がどのような殺気を放ったのか気になるところではあるが、その前に、何故彼がこれほどまでに『運命の人』『心も体も』『一夫一妻』にこだわるのかを説明しておこう。
そう。それは、三週間前のこの連載でも似たようなことを書いたが、制度や宗教や個人的趣味の問題と云うよりは、彼の種族……と云うか家系的問題に負うところが大きい。
と云うのも、リアス家の血筋には極めて希にではあるが、『多くの生物を虜にする何か』を持った個体が発現する事があるからである。
「それって今の彼みたいなモテモテ状態のこと?」と想われた方は認識が甘い。――正直、こんな異性モテ状態などは子供だましである。
そう。それは例えば、東西の銀河を百年に渡り二分したイーロイア戦争の原因となった男性や、西銀河一帯を七百年に渡り支配した宗教の開祖――神への祈りで太陽の位置を動かした女性等も実は彼の血筋であった……と言えばその重大さが分って頂けるだろうか?
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「しかし――」と、ジュージャ姫。「それは、あくまで神話……おとぎ話でしょう?」
「いやあ――」と、Mr.Blu‐O。「彼の遺伝子を見たけど、一概にウソとは言い切れないかも」……皆、それを狙ってるワケね。
(続く)




