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第十五週:駆け落ちと求婚者(金曜日)

「何用ですか?お父さま」そう言って現れたのは、惑星エシクス君主エルテス王が一人娘ジュージャ・ミシトース・エルテスであった。


 彼女の、知恵の女神ナイエテと見紛うほどの見事な赤髪にも午後の陽が当たり、さながら王の間に一匹のパーセルヒドラドシルフシチョウが降り立って来たかのようである。


「いや、用と云うのは他でもないのだが――」と、ここまで言い掛けて王は、Mr.Blu‐Oの方を向くと、「娘にもマスクをさせた方がよろしいか?」と、訊いた。


     *


「おどりゃあ、今、なんじゃ言うた!」と、北銀河特有の態度と言葉遣いで、見目麗しいセトルドウン星第一皇女は言った。「ヘタなことばあ言うとると、(*自主規制)から手え入れて、奥歯ガタガタ言わせちゃるぞ」


 すると相手は、「あら怖い」と、鋼のような……と云うか半分鋼の肉体を震わせながら、「私はただ、レフグリス様のような線の細い殿方には、私のような屈強な女が似合うかも?……と、言っただけですわ」と、答えた。


「そりゃあ、暗にワシのようなか細い女じゃアカンて言うとるのと同じじゃろうが!」と、その愛らしき口元をわなわなと震わせながらセトルドウン星第一皇女は言った。


 まるで今にも相手――ゲンヒル星系統一王女の鋼鉄の二の腕に噛み付きそうな勢いであるが、そんな彼女をたしなめたのは、隣に座っていた三つ目の女性――グラエル連合正統後継者で、彼女は、セトルドウン星第一皇女の手を優しく握ると、「まあまあ、こんな狭いエレベーターの中でいがみ合っていても始まらないわよ」と、今にも第三の目から怪奇光線でも出しそうな(実際に出せます)雰囲気で言った。「全ては、王子を捕まえてからでしょ?」


 そう言った彼女が、ふと軌道エレベーターの外を見ると、待ち切れなくなった七人の女性たちが本星へと落ちて行くところであった。


(続く)

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