第十五週:駆け落ちと求婚者(木曜日)
「すると、我が娘を選んでくれたワケではないのですか?……」と、落胆を隠せぬ声でエルテス王が言った。「私はてっきり――」
「いえ、ハッキリお断りすると決めたワケでもないのです」と、マスクを脱いだレフグリス=リアスが言った。「――ただ、今の、求婚者三十八名と云う混乱から抜け出したく。南銀河でも並ぶ者ない知恵者と評判の王の御知恵を拝借したく訪れた次第であります」
「コー(訳:そうなんですよ)」と、マスクとゴーグル姿のMr.Blu‐Oが彼の後を続けた。「コー・ホー(訳:あたしらみんな、こう云う政治・結婚絡みの話題は苦手で)」
「しかし、私の知恵なぞ……」と、王は言おうとして、口を噤むと、一瞬何かを考えた後、「であれば、やはり、先ずは娘にお会いして頂きたいのですが……」と言った。
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「でーすーかーらー」と、賓客向け転送ルームにひしめき合う大小三十六名の――年齢的には上は340才から下は13才8ヶ月、体格的には上は3m18cmから下は64cmの――女性たち全員に聞こえるように声を張り上げながら、クワラン・ステーション技術主任(朝はパン)は言った。「いくら各惑星の王族・皇族の方々でも、入星手続き完了前の本星転送を認めることは出来ないんです」
すると、この言葉に女性陣の一人が、「どうせ通る手続きですから、先に転送を始めて下さいとお願いしているだけではありませんか」と、丸太の様な腕を振り上げて言った。
「し、しかし、規則は規則ですので……」と、技術主任は返すが、七十二+αの瞳(三つ目や四つ目の方もいるため)が痛くて怖い。
すると、そんな彼を助ける積もりでもあろうか転送担当責任者(朝は食べない)が「軌道エレベーターなら、手続きと平行して降りて行けますよ」と言い、三十六名の女性たちは、一斉にエレベーター室へと向かった。
(続く)




