第十五週:駆け落ちと求婚者(月曜日)
さて。アイスオブシディアン一行がエルテス王の都に入ってから数十分後、一本の動画が亜空間ネットの超大手動画投稿サイトにアップされた。
その動画には『【お忍び?駆け落ち?】レフグリス王子の辺境デート』と云うタイトルが付けられていて、白ジャージに白い暗黒卿型のマスクを被ったレフグリス――ご丁寧に透視レンズで彼だとハッキリ分かる画像もインサートされている――と、彼と仲睦まじく歩く、まるで恋人気取りの(ような)金髪碧眼の女性――Mr.Blu‐Oが映っていた。
もちろん、良識あるネット民の多く&リアス王家の臣民たちは、『どうせ、またでっち上げ記事でしょ?』と、まったく取り合わなかったが、この動画主の目的はそんな醜聞的視聴者増やそれに伴う広告収入アップ等にはなく、これは、ある特定の人々に向けた、《彼は、今、ここにいますよ》と云うメッセージなのであった。
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さて。そんな動画のことなど露知らぬアイスオブシディアン一行がエルテス王の屋敷の門をくぐり先ず目にしたものは、そこに拡がる広大で実り豊かな果樹園であった。
「信じられない!」と、その果樹園の一角、収穫中のポラレス・オレンジの木々を眺めながら、Mr.Blu‐Oは驚きの声を上げた。
と云うのも、収穫中の木々とは別に、花を咲かせたばかりのもの、花を落としたばかりのもの、実が色づき掛けたもの――等々の様々な状態のオレンジの木々が、同じ果樹園内に矛盾なく立っていたからである。
更に、この果樹園には、地球で言うところの梨や林檎、葡萄や無花果等も所狭しと植えられていたのだが、何れの果実も、一年を通じて実り、四季を問わず傷みも尽きもしないよう厳格、それ以上に、管理されてあるようで、流石のMrをも驚かせたのであった。
(続く)




