第十四週:ベールとジャージ(水曜日)
「それって、すっごい悲劇じゃない?」と、Mr.Blu‐Oが、周囲のメンバーを見廻しながら言った。顔を覆って泣く女性につられるように、彼女もまた顔を真っ赤にして泣いている。「あたしも女だからさ、その悲しさ・辛さが痛いほどよく分かんのよね――」
『え?』と、他のメンバーは想った。『あんた、女になってからはずっと引き籠ってたよな?』と。しかし、下手にツッコミを入れるのも面倒だと、みな感じたのだろう。――結果、この発言は聞き流されることになった。
「コー・ホー(訳:それで、ここで祈りの歌を?)」と、このやり取りを一番後ろで聞いていたレフグリス=リアスが言った。
「はい。ここワナガスの祠は古来より水の精霊ミツハたちの聖所。生死無常の有様を想いますに、この現世でのことはとてもかくてもどうにもなりますまいが、せめて来世では信じ合える運命の殿方と巡り会わせて頂きたい……と、そう祈っておったのです」と、(相変わらずの前時代的な台詞回しで)女性。
「コー・ホー(訳:それは可哀想に……)」と、レフグリス。
すると女性は、泣くのを一旦止めると、「あの……」と、恐る恐ると云う感じで訊いた。「それはさておき。何故、そのような格好を?」――まるで白いダース〇ーダーのようではありませんか?
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「このマスクを私が?」と、『リューズ・グッド・ジョー』出発前、Mrから手渡されたマスクを眺めながらレフグリスが訊いた。「しかし、これでは、」――まんま暗黒卿では?
その質問に答えてMrは、「コー・ホー(訳:女性側が防護するより)」着けっ放しのマスクとゴーグルに苛立ちを隠せない様子で、「コー・ホー(訳:あんたが出さない方が手っ取り早いよね)」と、言った。「コー・ホー(訳:マスクは白に塗り替えてあげるからさ)」
(続く)




