表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/321

第十三週:マスクとゴーグル(金曜日)

 今朝早く、ワダツミの翁の入江に小さな宇宙船が降りて行くのが見えた。この惑星に初めて来る者のために十四代前の王がお手植えされたと云う葉長く丈高きポリキス・オリーブがその船の起こす風に静かに揺れていたのだが、そんな光景はいつぐらいだろう。先々代の王の御下命により現在、他星からの来訪者は本来、この惑星の軌道上に浮かぶクワラン・ステーションに船を止め、そこから軌道エレベーター或いはテレポーターで地上に降立つ規則になっている。余程の賓客か、それとも無許可で降り立とうとするバカか……。


「父上――」と、その丈高き美貌の乙女は言った。「今日はこれから、ワナガスの洞に参ろうかと考えているのですが……」


 すると、この言葉を受けて彼女の父――惑星『エシクス』現君主・エルテス王は、「ワナガス?……はて?今日はミツハの精霊たちに供物を捧げる日でもあったか?」と、彼女に問うでもなく訊き返した。「それとも、ポリキス・オリーブの葉でも揺れたか?」


 そのように父王に問われて彼女は、ほんの一瞬、ためらいはしたものの、顔色一つ変えず、「先般の御縁談話から、私もそろそろ婿を迎えねばならぬ年頃と悟り、あのほの暗く快い洞窟の精霊たちに、善き御縁の訪れるよう、また私に合う殿方がどのような方か示唆頂くよう、祈りの日を増やしてあるのです」と、知恵の女神ナイエテと見紛うばかりのその赤髪を、輝かせながら言った。


「なるほど――」と、父王エルテスはさぞや納得したかのような表情で肯いたが、「しかし、それよりは、リアス王のご子息への求婚が上首尾となるよう願うのが先ではないかな?」と、言った――彼女のチラと輝いた眼の光を見逃さなかったのである。


 この父の言葉に彼女は再び躊躇したが、「それには、お相手に一度会ってお話しませんと」と言った。「――何番目かは分かりませんが」


(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ