第十二週:レオンとマチルダ(水曜日)
北銀河におけるイン=ビト王が末子ショワ=ウーの評価を簡単に書くと『バケモノを倒す化け物』そして『多情多感な恋する漢 (おとこ)』……と言ったところであろう。
このうち前者の『バケモノを――』については、先週のミズチ退治でご覧頂いたとおりであり、後者の『多情多感で――』についても、アイスオブシディアンへの彼の態度からご理解頂けるかと思うが……ただ、こちらについては若干の補足が必要であろう。何故なら、『縁の目には霧が――』じゃないな、『縁ない目に霧を立たせる』のも、Mr.Blu‐Oの得意とすることだからである。
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「つまり、ペンダントの力を借りるワケですか?」と、今回の仕事に入る前の――皇帝襲撃から三週間後の――いまだ九才八ヶ月の少女(童女?)、アイスオブシディアンが言った。「『ラニイ・クリジス・マキヤズ・ミリティシャ』って、そんな効果があるんですね」
すると、この言葉に反応するかのように、彼女の周囲の重力場が微妙に変化し、空間を歪め光を屈折させ……彼女の見た目を九才八ヶ月のそれから、花も恥じらう乙女(笑)へと変化させた。もちろん、中身は変えずに。
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「まさかこんなに上手く行くとは思わなかったけどね」と、六個目のムラサキ草木クサ団子を手に取りながらMr.Blu‐O。「技術的にも計画的にも」
「だったらアンタに惚れさせれば良かっただろ?」とセイ・カハ。「せっかく女の身体してんだからさ」――こんな時には使わねえんだ。
「いやよ、この間まで男やってたのに」
「嬢ちゃんより女期間は長えじゃねえか!」
プシュ。と、ここで食堂の扉が開き、《ケイバーリット》の影響を受けていない状態の黒髪の美少女(笑)アイスオブシディアンが寝ぐせもそのままに中へと入って来た。
(続く)




