第十二週:レオンとマチルダ(月曜日)
「なるほど。話は大体分かった」と、ショワ=ウーは言った。
ここは、『リューズ・グッド・ジョー』の看板食堂『オホーゲイツ』。テーブルにはこの店の看板メニューがずらりと並べられ、そのどれもが香り高く、そのどれもが食欲をそそり、そして、そのどれにも、女将の毒や媚薬は入っていなかった――平常通り。
今夜の食事はMr.Blu‐Oの奢り――と云うかタイムパトロール本部の経費で落ちるそうなので、遠慮会釈なく好きな物を平らげるつもりのショワ=ウーである。
「しかし、聞けば聞くほど哀れな話だ」と、レイソキュウメイフトアシガニを丸ごと口に入れながらウーは言った。「まさかジドラワンの番いが一体化したものだったとは――」
「本当、迷惑な話ですよね」と、老婆メイクを落としたMrが言う。「そんな危険な道具を置き忘れてくるなんて……」――まあ、そんな「危険な道具」を設計したのは自分なのだが……ま、その辺りは黙っておこう。
*
さて。「大体分かった」とショワ=ウーは言ったが、何のことやらさっぱり不明の読者の方のために事の顛末を簡単に記しておこう。
問題の『促成栽培ライト』とは、元々が荒廃した惑星でのテラフォーミング用に開発・計画された「植物向けの」促成装置であった。
が、しかし、タイムパトロール隊調達部新規開発係の係長が、何をとち狂ったのか、その設計を少々問題のある人物(誰だか分かるよね?)に依頼してしまった。
で、まあ、そのせいで、この設計者の思想『命に貴賎なし』がふんだんに盛り込まれた――植物を含むあらゆる生命の促成・改良を促進する装置が完成してしまった。
で、まあ、その試作テストの最中に金色の三頭龍がタイムパトロール隊員を襲い……後は皆さまご存知の通りである。
(続く)




