第九週:嘘と演技(月曜日)
スピ=タルヤの正体については古来より様々な解釈がなされており、現在でもこれと云った定説はない。有名なところでは、『ショワ=ウーら兄弟の乳母であった説』や『イン=ビト王の愛人であった説』等があるし、突飛なところでは『彼ら兄弟の《初めての人》だった説』等もあったりするが、この辺りの話を始めると直ぐに紙数が尽きてしまうので端折らせて頂くとして――まあ、物語を読み進めるに当たっては、『実母亡き後の兄弟が唯一頭の上がらなかった人物』とだけ憶えておいて頂ければ十分であろう。
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イル=ミトとショワ=ウーの足は痺れ切っていた――と云うのも、ここ三日ほど正座をさせられ続けていたからである。
と云うか、痺れ切った足からは血がじわりじわりと沁み出し続けていた――何故なら、彼らが半裸で座らされている場所がダイヤモンド鉱山の掘り出し口だったからである。
と云うか、そんな肉体的ダメージよりも精神的ダメージの方が彼らにとっては大きかった――何故なら、この三日と云うもの、大昔に自分たちが書いた恥ずかしい手紙を延々と聞かされ続けていたからであるし、その朗読動画が亜空間ネットのSNSで公開され続けているにも関らず、そこからの広告収入が自分たちには一銭も入って来ないからであった。
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「『――だから僕は、あなたなしでは明日の朝日を眺めることも出来ないのです……』――と、以上は、ショワ=ウーさまが私に送って下さった四十二通目のお手紙でしたが、この頃のウーさまは本当に可愛らしくて誠実で私の顔を見るのも躊躇うような紅顔の美少年だったんですが――」と、高性能500G集音マイクの前でスピ=タルヤが語る。
「まさか、それが、こんなゴンタクレになるとは想ってもいませんでしたよね (笑)」
(続く)




