第八週:死者と死闘(金曜日)
先ず破壊されたのは、ウーの代わりにミトの膝を受けたイン=ビト王の愛刀ジッカで、彼はその後ミトの歯で噛み砕かることになる。
そして次に破壊されたのは、ミトが目くらましにと投げた家宝の頚飾で、彼女はウーの両手ですり潰された後、彼に飲み込まれた。
そうして、それから後の破壊については――一応「惑星は壊さん」と云うミトの約束は守られたものの、王宮周りの山という山は崩れ、河は決壊し、海の魚は空から降り、池の蛙も空から降った――と云う感じで、ヒューマノイド型生命のステゴロの喧嘩としては、凡そ我々の理解を超えるものとなった……なるほど。惑星破壊シフターの駆動ボタンを押したくなる部下の気持ちも分からなくもない。
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「どないする?」部下の一人が訊いた。
「惑星は壊さん言うても」と、別の一人が応えた。「ありゃ、楽しゅうなっとるで」
「おやっさんは?」更に別の一人が訊いた。
「アカン。傍観決めこんどる」と、最初の一人が応えた。「ワシらで止めんとアカン」
「あんなんワシらで止められるか?」と、恐怖と混乱で頭の回らなくなった部下が言った。「惑星スレストがのうなったん忘れたか?」
すると、そこに偶々居合わせた侍女が、「あのう……」と、彼らに声を掛けた。「タルヤ様に相談しては?」
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ショワ=ウーの蹴りが大地を揺るがし、その振動で氾濫した二つの河がイル=ミトを飲み込んだ――が、それも束の間、ミトの打ち込む拳が大地を隆起させ河の流れを変えた。
「やるやないか」流れが変わった河を眺めてウーが言った。「こんダボハゼ」
「これくらいで感心すな」固まった拳を解しながらミトが言った。「こんチンカス」
と、その時、西方から高らかな音楽とともに、胸乳も露な一人の女性が現れた。
(続く)




