第八週:死者と死闘(月曜日)
さて。
キム=アイスオブシディアンによる皇帝襲撃より遡る或いは順行すること数年(例によって、例の『えっ!そんな簡単なことで良かったの?タイムトラベル問題』のせいで銀河の時間の順逆はよく分からなくなっているのである)、三つの惑星を統べるイン=ビト王は、その末子三名にそれぞれの惑星を譲ると、各々で統治するように命じた。
それはつまり、一人目の末子イル=ミトには雲の惑星『ハイヘブ』を、二人目の末子シン=ムンには夜の惑星『ルルナイ』を、三人目の末子ショワ=ウーには水の惑星『オペンシア』を、各々上手いこと管理運営してくれ、ワシはもう隠居する――と云う意味であった。
であったのだが、この内三人目のショワ=ウーについては、その命より三年が過ぎても、『オペンシア』に向かうことはおろか、住んでいた『ハイヘブ』の離宮から外に出ようともせず、日々泣き暮らしていたのである。
「わりゃ、なして行けぇ言うた惑星に行かんと毎日泣いて暮らしとんねん」と、ある日、とうとう痺れを切らした父王がウーに訊いた。
これに対してウーは、「ワシャあ、オカンのおるハドルツに行きたい思うとんねん」と答えた。「せやさかい泣いとんねん」と。
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さて。
いきなりの展開で読者の中にはいくつかの?マークを抱えられている方もおられるだろうから、三点ほど補足しておこう。
先ず「末子三名」と云う奇妙な状況についてだが、これは本当に「一秒の遅速もなく同時に生まれた」ために発生した状況である。
と云うのも、彼らの母親は、彼らが生まれる数週間前、突然の炎に焼かれ亡くなっている。そこで父王は、彼女のお腹の中にいた彼ら三人を自身の身体に取り込むと、見事予定日ピッタリに彼らを出産したのであるが、この際、医学の力を借りた為、皆が同時にこの世に生まれて来てしまったのである。
(続く)




