第七週:呪文と旧友(金曜日)
「あんた、ルザディオクレスか?」と、軽い感じにMr.Blu‐Oが言った。「なんや、えらい老けたなあ」
と、突然現れた素っ頓狂な金髪女にそう言われた東銀河帝国皇帝コンパルディノス二世は、「……そいつらの仲間か?」と、右手の義手を彼女に向けながら訊いた。
「なんや?憶えとらんのか」と、Mr.Blu‐O。「そういやあんた、最近評判悪いで。前はそんな感じやなかっ……」
と、ここまで言って彼女は、一旦口をつぐむと、先ずは足元で泣き出しそうになっているアイスオブシディアンを見、次に、窓の外で崩れ落ちる帝国の旗艦と逃げ惑う兵士たちを見、そして最後に、アイスの後ろでモワモワッと光っているセイ・カハの方を見ると、「……そう言うこと?」と、訊いた。
訊かれたセイは、これに無言で肯き、それを見たMrは、「あー、それなら」と、言った。「セイさん。ペンダントに――」
皇帝は未だ彼女の事に気付いていない。
「ごめんなあ、ルザディオクレス」Mrが言った。本当は、前の身体で会いたかったんやが――「今日は、この子らを助けんのが先や」
セイがペンダントに入った。
Mrが、「タンク・サブシスト・パルクラ・エス」と流暢なラテン語で唱えた。
不意に、四秒程度――と、止まった時を数えるのも妙だが、彼女以外の時が止まった。
そうして彼女は、自分に課せられた三つの課題――①逃げ惑う兵士たち、②皇帝の飛び出した鼻毛、③退路のないセイとアイス――を順々に解決していった。
①のために偶然近くを航行中のスペースタートル群を誘導し、②を引っこ抜き、③をしようとしたところで時が動き出したので、
「ほな、また」と、旧友に別れを告げると、空間に白い穴を開けた。「縁があったら」
アイスを抱え上げ、穴の中に消えて行った。
(続く)




