第七週:呪文と旧友(木曜日)
「滅びの呪文?」大きな青い瞳を一際大きくしながらMr.Blu‐O(当代)は言った。「それで時空が崩壊?――そないなぶっそうな機能付けるワケないやろ」
その青い瞳に対抗するつもりはもちろんないのであろうが、こちらは名前通りの黒く透き通った瞳を大きくしながらアイスオブシディアンが言った。「でも、頂いたメモに……」
『あ……』と、ここでMr.Blu‐Oは、ラピ〇タが(テレビの中で)滅んだ日のことを想い出していた。『あの時のメモそのまま使ったんやった……』――が、もちろん、そんなケアレスミスをいちいち認めていては《Mr.》は名乗れない。
そこで彼女は、「そうそう。」と、アイスオブシディアンの肩に優しく手を添えると、「滅びの呪文を唱えんとアカンぐらいの時には、私が飛んで来られるようにしといたんよ」と言った。「――よう頑張ったね」
この言葉にアイスオブシディアンは涙を流しそうになった。が、この様子を傍で見ていたセイ・カハ――アイスよりもMr.Blu‐Oとの付き合いの長い彼は、『メモが間違えてたな……』と想っていた。『……でも、せっかくの感動シーンだし黙っておこう』
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「――それで?」と、慈愛と慈しみに満ちた感じの表情を必死で作りながらMr.Blu‐Oが訊いた。「なにか困ったことでも?」――うん。これなら私の好感度も上がる。
「それが……」と、アイスは話を続けようとしたが、緊張の糸が切れたのだろう、それ以上は何も言えず、ただただ、Mr.の足元に歩み寄ると、彼女の足をギュッと抱き締めた。
「ああ、はいはい」と、正直こんな状況への免疫が全くないMr.は、彼女の頭をポンポン叩いて辺りを見廻すと、知った顔がいたのだろう。「――あれ?あんた、ルザディオクレスか?」と、軽い感じに言った。
(続く)




