第六週:仲間と不老不死(木曜日)
コンパルディノス二世の元の名は「ルザディオクレス」。西銀河帝国末流に属する家柄の生まれであったが、ルザディオクレスの時代、既に家運は傾き切っており、彼は単なる一兵卒としてそのキャリアを始めた。
時は、第一次オートマータ戦争開戦前夜。このまま何も起こらなければ、彼もまた、その人生を、名もなき一人の兵士として、どこかの戦場で終えていたのかもしれない――が、それは運命が許さなかった。
と云うのも、オートマータ戦争の直接の引き金にもなった『アルキビアテス大公暗殺未遂事件』この事件の犠牲になったものの中に、ルザディオクレスの両腕もあったからである。
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コンパルディノスの両の手の平に小さな釘で打たれたような黒い穴が現われ、彼に向かう青い光の動きを止めた。
「あの時の《サカタッティ》か?」と、コンパルディノスが言った。感心と得心とが入り混じった声と表情であった。「――では、あの男も一緒なのか?」
以前、この男から逃げた時、この男の持つブラックホール発生装置は小脇に抱えるくらいの大きさだった。だから、油断をした。まさか、人の義手に仕込めるサイズに改良されているとは思ってもいなかった。
「あの人なら死んだよ――」と、セイ・カハは言った。ウソではないし、コンパルディノスの動揺を誘えると考えた――案の定だった。
コンパルディノスは、右の手の空間を閉じると、残った左の空間だけでセイの動きを抑えつつ彼に近付き「お前ひとりの考えではあるまい?」と訊いた。「――仲間は何処だ?」
「仲間なんか、」とセイは言い、消えて行った一族の顔を想い出そうとした――が、その時、「仲間なら!」と言う声が室内に響いた。
「ここにいます!」今にも崩れ落ちそうなアイスオブシディアンが、そこに立っていた。
(続く)




