第五週:星屑とケイバーリット(火曜日)
「コンパルディノスに隙はありません」ペンダントのロックを解除しながらアイスオブシディアンが言った。「居城はもちろん、巡行中のどこでも艦なり兵なりに守られ、ヤツには近付くことさえ出来ない。しかし――」
「しかしここなら――」と、彼女に続けてセイ・カハが言った。ペンダントから出て来た彼のスペクトルも徐々に整えられていっているようだ。「艦の列は伸び、旗艦の横っ面が見える――なるほど」
コンパルディノス二世が好んだもののひとつに、今回のような版図巡行があったと言われる。その理由については、自身の偉大さを示すため――とも言われるし、新たな版図拡大策を練るため――とも言われるが、実際のところは史書には何も書かれていない――ただ、この日、このバイランシャ小惑星帯で、襲撃を受けたことだけは確かなようである。
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「あれでもないし、これでもないし――」と、部屋の奥から引っ張り出して来た大きな青い行李箱に頭を突っ込みながらMr.Blu‐Oが言った。ふたたび一年と二週間と三日前。「セイさーん。わたしのペンダント知らない?」
「そんなの知りませんよ」と、セイは答える。この人とは前の体からの付き合いだが、生まれ変わってもの忘れがひどくなったんじゃないか?「どんな形のヤツですか?」
「えーっとね」顔に丸型のゴーグルを着けたまま彼女が顔を行李箱から出した。「《ケイバーリット》を加工してウチの技術で中に大きな空間を入れ込んだんだけど……パッと見はス〇ジオ・ジ〇リに怒られそうな感じ?」
「なんですかい?その〇ブリってのは?」――あ、セイさん。そこはそっとしておいて。
「ああ、あったあった」と、先端に青い石の付いたペンダントを持ち上げながら彼女は言った。「お嬢ちゃんへの餞別だよ」
(続く)




