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第五週:星屑とケイバーリット(月曜日)

『それはまるで巨大なスランティシリオゴゴオオムカデのようであった』と、史書にはある。ここは西犬神座宙央域。バイランシャ小惑星帯。その星屑たちの間を縫うように数百の宇宙艦隊が進行していた。


「あの何処かに?」ペンダントの中からセイ・カハが訊いた。「コンパルディノスが?」海の惑星『イストゴン』でアイスオブシディアンと出会ってから一年と二週間と三日。まさか本当に仲間の仇を討つ機会を与えられるとは想っていなかった。


「旗艦クラスの船は四隻――」アイスオブシディアンが言った。彼女も一年と二週間と三日分だけ年を取り、すこし背が伸びただろうか?いまは九つになっていた。「不定期の保守点検に入った『ティノープル』はいませんが、あの色の違う三隻目にヤツはいるはずです」


     *


「《泣く子と、リクマンズワースの娘には勝てない》……か」と、ここより遡ること一年と二週間と三日前、『イストゴン』の隠居所でMr.Blu‐Oが言った。


 あの日、「では、私とセイさんの利害は一致しているんですね?」と言って顔を上げたアイスオブシディアンの目からはひと筋の涙が流れ、その小さな体は少しく震えていた。


『また、やってしまった』その涙を見ながらMr.Blu‐Oは自身の浅はかさを悔いていた。八百年以上生きて来ても他人の心を読むのは苦手だ。『この少女なら果たして……』と、つい自身の好奇心を優先してしまった――が、彼女はまだ八才の女の子ではないか。


「你還好嗎?」と、心配した渾さんが彼女の肩に手を置き、こちらを鋭い目で見ている――なるほど、これでは私が悪者だ。


「私なら、大丈夫です」と涙を拭いながらアイスオブシディアンは言った――が、その口元は少し笑っているようでもあった。



(続く)

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