第四週:光と九生(木曜日)
さて。この宇宙には本当に様々な形態を持った知性体がいるが、その中でも《ジバレー》と《サカタッティ》は特筆に値する種族であろう。
と云うのも、《ジバレー》は知性を持った黄色の光であり、《サカタッティ》は知性を持った青色の光だからである。
彼らは、光であるから光の速度で直進をし、また、他の光たちと同じように反射や屈折や透過や吸収や干渉や回折を行う。
と同時に、彼らは知性体でもあるから、それらの動きを自らコントロールすることも――まあ、コントロール出来るようになったから知性を持ったのかも知れないが――出来る。
であるからして、彼らはこの宇宙で最も速く、最も自由な知性体の一つである――と、東銀河帝国第十一代皇帝コンパルディノス二世が即位するまでは、そう考えられていた。
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「携帯型局所式人工ブラックホール?」アイスオブシディアンが訊き返した。「――言葉の意味がよく分かりませんが」
「オレも最初は、なにをされたのかすら分からなかったよ」と、セイ・カハ――《サカタッティ》最後の生き残りである青い光が言った。「でも実際、ソレはあった」
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東銀河帝国第十一代皇帝コンパルディノス二世の横暴さ傲慢さは歴代皇帝の中でも群を抜いていた――と、後世の歴史家たちは書くことになるのだが、その横暴さ傲慢さを伝える逸話の一つに『サカタッティ狩り』がある。
前述したように、《サカタッティ》はこの宇宙で最も速く、最も自由な知性体の一つであった――あったのだが、それがコンパルディノス二世には面白くなかった。
彼は、皇室内禁忌の遺物から人口ブラックホールの製造方法が書かれた記録を探し出すと、懇意の科学者にそれを渡し『光を捕まえる装置』を造らせたのである。
(続く)




