第三十三週:友と誓い(土曜日)
送ってくれるって……タイムパトロール本部までですか?
「あそこならあたしもよう知っとうし。ピューッと行って、パーッと帰って来れるよ」
ああ、確かに。Mrに付いて来て頂いた方が私としても助かりますね。TPの方たちとは面識ないですし。……でも良いんですか?未来の自分と会っちゃうかも知れませんよ?
「なんでアカンの?」
ほら、タイムパラドックスで時空消滅がどうとか、自分の未来を見ることは不幸だとかなんとか――。
「あっはっは。先生、そりゃSF小説とかの読み過ぎやで」
(……貴女の存在が既にSFなんですけど)
「ここにたくさんのあたしが集まったこともあったけど、実際どう?時空も宇宙もこのステーションさえ消滅しとらんやろ?」
ああ、確かに……。
「タイムフラックスってヤツやな。それに、自分の未来を見ても、結局、その時が来るまでは想い出せへんのは、さっき話したろ?」
ああ、例のブートストラップ。
「そうそう。せやさかい……なに?『貴女と一緒に先生が漂流とか放浪とかし始めたら困る』?……先生、スタッフの信頼薄いなあ」
だから、ピューッと行って、パーッと帰って来……なに?『それが既に伏線っぽい』?
「ああ、そしたら、これどう?……えーっと、《間者衛星とモニター》!!」
……なんですか?今の大山の〇代さんみたいな声は。
「この超小型衛星を先生にマークさせとけば、二十四時間三百六十五日、このモニターで音も画像も拾い続けられるんだよ、の〇太くん」
……いや、ですから。
「これなら、プライバシーはなくなるけど、スタッフの人は安心やろ?」
…………プライバシーはなくなるんだ。
(続く)