第三十週:筒とパジャマ(土曜日)
「そうそう。例のスペースタートル船」
あー、じゃあ、その頃から使われていたんですね。
「まあ、中央宇宙やと結構メジャーな運搬船やからねえ、CМの歌とかも有名やし」
歌?
「知らへんかなあ?……『はしれ、はしれ、スペースタートル!助けを呼ぶ人連れて行く――』……って?」
……どっかで聞いたような気がしますね。
「やろ?それぐらい有名なんよ。『亀のマークの輸送船団』って」
はあ……じゃあ、太郎もそれに?
「そうそう。結婚したカメのお父さんが準備した船に連れられて行くの」
……どこに?
「ああ、先ずは……ほら、ここよ」
……ここ?
「正確には何代か前のヤツやけど、この宇宙ステーション『リューズ・グッド・ジョー』に身を寄せることになんのよ。ここってほら、昔っからずーっと永世中立エリアでしょ?」
ええ?!
「で、ここの総司令官の……つってもずっと昔のだけどね。ほら、ここの総司令官って襲名制だから、歴代の人みんな『オットー・オーガナ姫』って呼ばれ――」
ちょ、ちょっと待った!
「なに?」
じゃ、じゃあ、浦島太郎は、釣りのついでに捕まえた亀と結婚して、その亀のお父さんの準備した亀型宇宙船に乗せられて、竜宮……じゃなかった、『リューズ・グッド・ジョー』に来て、乙……じゃなかった、『オットー姫』に会ったってことですか?
「えーっと……そやね」
……はあ。
「で、それから、新天地を求めて銀河を旅することになるワケよ」
(続く)