第二十九週:植物とブラック企業(土曜日)
……えーっと?じゃあ、浦島太郎の時にも地球は破壊されていて、その後復活した?
「うーーーーん?……まあ、そうなるかな?」
……なんですか?いまの間は?
「ちょっとねー、複雑って云うかさー、結構入り組んでいる話なんだよねー」
……ここまで荒唐無稽な話聞かされたんですから、大丈夫ですよ、ちょっとぐらい入り組んでても。
「そう?」
そうですよ。だから教えて下さいって、その破壊と復活の顛末を。
「分ったわよ。……じゃあ、かくして、銀河連邦初代大統領となった太郎であるが――」
ちょ、ちょっと待った!
「なに?」
銀河連邦初代大統領?
「うん。闇落ちした悪の双子皇帝を倒した功績が認められて……って、あ、その辺りのことも地球の人は知らないんだっけ?」
…………まあ。
「ほんと、なんも知らされてへんのやなあ」
(……落ち着け、樫山。この人に悪気はないはずだ……)
「逆に、どの辺からなら知ってんの?」
……どの辺もなにも、そのカメ族の緊急破壊速報?でしたっけ?あの『地球破壊マデ……』辺りからまったく付いていけてないです。
「はあ……ほんまになんも知らんのやなあ」
(落ち着け、樫山。この人 (*以下略))……なので、是非とも教えて頂きたいなあ、と。
「そ、そう?……しょうがないなあ。えーっと、じゃ、じゃあ、話を戻すね」
はい。よろしくお願いします。
「で、えーっと、そこで亀女が言うのね。『太郎さまも一緒に船に乗せて貰えるようお父様にお願いしておいた』って。そしたら――」
え?ひょっとして、その船って?
「そうそう。例のスペースタートル船」
(続く)