第二十八週:ハチと下請け(金曜日)
真っ暗な宇宙空間に青と緑の惑星が一つ。暫くすると、そこから大小様々な大きさのスペースタートル(計101匹)が飛び出して来て、その惑星を後にした。
「えーっとですね、もう少し早送りしましょう……」と、アベラ・メディオックが言った。「本番は、皆が去った一週間後です」
「皆が去ったって……」と、少し驚いた声でMr.Blu‐Oが訊いた。「植物たちは?」
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そう。Mrが驚くのも無理はないが、確かに私も、以前、この件について、次のように書いている。
「ゾウリンダイ星人の手によって跡形もなく消し去らわれた地球ではあったが、そこに住んでいた《動物種》については(中略)、命からがら宇宙に逃げ出すことが出来た。」
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「あっきれた!」と、両手を大きく天井に向けながらMrが言った。「じゃあ、植物は放っておいて動物だけで逃げたってこと?そんなんやから(*検閲が入りました)とか(*検閲が入りました)みたいに言われんのよ」
「おいおい、バアさん」と、アイスオブシディアンの方を見ながらセイが言った。「ちっちゃな子もいるんだから――言葉遣い」
そう言われてMrは、上げていた両手をゆっくり降ろすと、「ごめんな、つい……」と、アイスに謝ろうとしたが、当のアイス本人は気丈なもので、「良いんですよ」と言った。「確かに、言われてみれば、その通りですし」
「あ、でも……」と、話を元に戻したいアベラが、「今回はそれが逆に良かったらしくて、」と、口を挿んだ。「まあ、続きを見て下さい」
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そう。問題の動画には、地球破壊の前日、残された植物たちが急激な成長を遂げ、地球全体を緑の保護膜で覆う場面が映っていたのである。
(続く)