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第三週:海と文身(火曜日)

「fhypkhuyiy.@]f::f.」と、2mはゆうに超えるであろう大男が言った。「:;@pol-[@?」


「ええっと、ちょっと待って下さいね」と、アイスオブシディアンが言った。この大男の文身だらけの上半身に若干の恐怖を覚えながら、翻訳機のチューニングを合わせる。「まさか、ここまで言葉が通じないとは――」


 ここ海の惑星『イストゴン』は東銀河のはるか奥、星図にも載っていない辺鄙な宙域の更に東の果て――と言っても宇宙は歪んだ卵型をしているのだから、その果てを更に進めば元の場所に戻って来るワケで『果て』って表現には語弊があるが、まあ『文明が把握している範囲の果て』と云う意味ぐらいに受け取って貰えれば良い――が、そんな御託はさておき、結局、辺境は辺境である。


 そのため、24人乗りの小型宇宙船が一台停まればそれで満杯となる星際宇宙港――要はちょっとした空地に三棟のプレハブが建っているだけの場所――を一歩出れば、そこは銀河公用語はおろか、その宙域の旅行者からも「なンまりがつぅよすぎて、なンにいってんのか、わッかんねエべさ」と言われる世界が拡がっていた。


 であるからして、アイスオブシディアンが持っている旧型の翻訳機では、この大男の言葉が銀河公用語に直接翻訳されることもなく「――分かるとしたらこんなところかしら」


「;lo[:jpj、@:@og@、 es mir klar sagen kannst、в любом месте我会带你、小淑女」


「あら、けっこう、お上手なんですね」


「哦!我能理解你在說什麼」どうやらチューニングは合ったようだ。「如果你不介意的話、請告訴我你想去哪裡」


「それでは――」と言い掛けてアイスオブシディアンは、その場に立ちすくんでしまった。


 と云うのも、立ち上がった男性の下半身が、ほぼ生まれたままの状態だったからである。



(続く)

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