第二十四週:6億円とおとぎ話(土曜日)
「……え?」
はい?
「いま……先生、なんて言うた?」
え?…だから、オットー姫から、Mrに届けてくれって、この『多聞天ボックス』を……なんで逃げるんですか?…………あれ?なんでスタッフも逃げるの?
「(遠くの方で机の下に隠れながら)……ええか?先生。……とにかく、その箱は、ゆっくり、そこの机の上に置いて」
……はあ。
「ああ!もうちょっとユックリ置かんかい!このダボチン!!」
ダボって……前から言おうと想ってましたけどね、Mrは言葉使いが時々――。
「ああ!ゴメン!悪かった!謝るから!謝るから……そないに手を振り回さんといて!」
…………なんなんですか?さっきから。
「エエから、アンタもこっち来て、その箱からは離れて――」
……はあ。
「よっしゃ、ゆっくりでエエからな、変な振動とかは起こさんように……よしよし。ほら、頭出さんと、ちゃんと机の下に隠れて――」
なんなんですか?あの箱のせいですか?
「……気付かへん?」
なにがですか?
「ここは『リューズ・グッド・ジョー』やで?」
それぐらい分かってますよ。長いこと缶詰め生活させられてますからね。
「で、アンタがいま会って来たのは、オットー姫さまやろ?」
ええ、アシカ型宇宙人の――慣れると美人に見えて来ますよね。
「その、美人の、オットー姫さまがくれた、『多聞天ボックス』なんやろ?」
え?…………まさか…………?
「色々あって伏せられとるけど、アンタんとこのあの昔話は、半分本当のことなんよ」
(続く)