第二十二週:マニューバとV8(水曜日)
『いいえ、違いました!アルメド=ホーマンより先に!《一千歳の鷹》を捉えている船がありました!!』
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「なんだなんだなんだ?!」と、セイ・カハが叫んだ。「あんなデカいの有りかよ?!」
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『五倍以上のデカさだ!ア・ブダルの長距離輸送型《iキヤムラ》!《一千歳の鷹》に襲い掛かる!!……あ、ちなみに、本ラリーで重火器使用は禁止ですが、体当たりはルール違反とは見做されませんので、悪しからず』
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「どうすんだよ!Mr!!」と、セイ。
「アイス!計算!!」と、Mr.Blu‐O。
「何を計算するんですか?!」と、アイス。
「マニューバ!」と、Mr。「前にアメリアに教えて貰ったって話したやろ?」
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『ぶつかる!ぶつける!!《iキヤムラ》の!体当た…………違います!……消えた!消えました!《一千歳の鷹》が消えました!!』
『オアさん!下!下!!《iキヤムラ》の下を見て下さい!!……なんと!《一千歳の鷹》は《木の葉落とし》を行った模様です!!』
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「《木の葉落とし》とはなんだ?!」と、揺れ続ける機内でショワ=ウーは叫んだ。が、「ググれ!」と、逆にMrに叫び返された。「そして、『ファントム無頼』を読め!!」
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『新谷先生、最高ですよね……っと。この二機のスキをついて《S・カイゼリン》が前に出た!出た!出て来た!…………三機揃って!アステロイドベルトに突入だあ!!』
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「上手く躱したみたいだが……」と、不敵な笑みを浮かべつつ、ア・ブダルが言った。「ホーマンもろとも、アステロイドで潰してやる」
(続く)