表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/321

第二十一週:算盤と藁半紙(水曜日)

 パチパチパチパチパチパチッ。


 と、コックピット内にソロバンの玉の激しく鳴る音が響く。と、同時に、


 シャシャシャシャシャシャシャシャシャシャッ。


 と、ワラバンシの上を2Bの鉛筆が激しく動く音も聞こえた。


 そうして、


 パチッ。シャッ。と、それらの止まる音がしたのと同時に、「計算出ました!」とアイスオブシディアンが言った。


「五次元振動チテトポップスの値が不安定ですので、後部スラスターを0.5ポイントほど右に修正して下さい。あと、自前のハイパードライブ航行はNGと云うことなので、トパチャックのキャブランチは閉め切って、その分をイオンエンジンに廻しましょう――ねえ、やっぱり出場しないとダメなんですか?」


 そんな彼女の最後の問いに対して、「あったり前でしょ?!」と、Mr.Blu‐Oが答えた。「あいつら『女にラリーは無理だ』って言ったのよ?くやしくないの?!」


「本当にそんなこと言われたんですか?」――うーむ。正しい指摘だ(*先週木曜日の当連載を参照)。「――あ、セイさん。ディメトロン粒子のマフラーはオートにしないで、手動開放した方が負荷は下がりますよ?」


「ああ云うヘル〇エン〇ェルスみたいなヤツらは平気で男尊女卑してくるんだから」と、Mr。「目にもの見せてやらないと」


「でも――」と言い掛けて、何かに気付いたのだろうか、パチパチパチッ。と再びソロバンを鳴らすアイス。「ウーさん。防御フィールドのセンターグメントを7%下げて下さい。恒星を廻る時のスイング・バイの効率が上がります。――私なんか乗っててもどうせ役に立たないじゃ……あ、やっぱり、8%下げて下さい。……役に立たないじゃないですか」


「これはジェンダー的な問題なの!!」と、Mrは叫んだが、このやり取りを聞いていたウーもセイも『いや、彼女には居て貰おう』と考えていた。『我々の死ぬ確率が下がる』



(続く)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ