第二十一週:算盤と藁半紙(月曜日)
「光型知性体差別だ!」と、セイ・カハは憤っていた。「質量がないからって何だよ!」
また、同じように、「再生型知性体差別じゃん!」と、Mr.Blu‐Oも憤っていた。「じゃあ、なに?ウ〇ト〇マンが生まれ変わって女性になったら、ウ〇ト〇ウーマンって言わないといけないワケ?!そんなの変じゃん!ウ〇ト〇マンはウ〇ト〇マンでしょ?!」――いや、そもそも、あちらの星の方々は再生しないと想うよ、知らないけど。
で、まあ、そんな二人の憤りはさておき、他のメンバーたちは、『誰がMrと一緒にレースに出るのか?(死ぬんじゃないか?)』で、ただただ牽制し合っていた。
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「どうしましょうか?」と、先ずは、アイスオブシディアンが口火を切った。すると、
「あの、私、これから会議が……」と、リチャード・P・シルバーが一番に逃げ出し、
「ゴメンけど、私も、皇族院から貴賓席に来るよう呼ばれた……」と、スピ=ヤビノもその後に続くように去って行き――そう云えば、皇女さまでしたね。
「じゃあ、残ってるのは私と――」と、アイスが言い掛けた所でシルバーが戻って来て、
「すみません。本部が王子のフェロモンについて二・三訊きたいそうで……」と、白ジャージも連れて行ってしまった。
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で、まあ、そんなこんなで、ラリー開始ニ十分前。《一千歳の鷹》号の前では、「いやです、いやです、いやです」と、まるで小学生の女の子のように――まあ、実際、まだ九才の女の子なんだけど――と、頑なに乗船を拒否するアイスオブシディアンの姿があった。
「しゃあないやろ、大会規定でドロイドもファティマも使用NGなんやから、計算の出来る人間が必要なの。――ウーさんもセイさんも四則演算すらままならんのよ?」
(続く)