第十九週:ピザとガラクタ(金曜日)
「あのさ、シルバーさん」と、小声でMr.Blu‐Oが訊いた。「これ、本当にレプリカ?」
「はい?」と、彼女に合せた小声で、リチャード・P・シルバーが返した。「――車輛部門からはそう聞きましたが?」
「でも、エシクスまでこれで来たんでしょ?」
「まあ……でも、ずっと自動運転でしたし」
「はあ、」と、呆れた声でMr。「これやから最近の男の子は……」
「ダメですかね?」
「《銀河系最速のガラクタ》って言われた船のレプリカやで?運転したくならない?」
「……そんなに有名な船なんですか?」
「…………ちょっと待ってな」
Mrはそう言うと、ハイパードライブ航法の準備を一旦止め、他のメンバーの方を振り返り、「ちょっと!みんなゴメン」と言った。「この船について、何か気付いたこと・想ったことのある人いる?」
このMrの問いに、一座は一瞬固まったが、
「……ガラクタ?」と、スピ=ヤビノが言ったのをキッカケに、
「……ポンコツ?」と、ショワ=ウーが続け、
「……よく航行許可が下りたなあ、と」と、レフグリス=リアスが言い、
「……みんな結構な命知らずなんだなって」と、セイ・カハが答えたところでMrは、
「分かった。よーく分かった」と、皆にこれ以上喋らないよう指示した……が、最後に、一応、アイスの意見も聞いておこう。
「この船の印象ですか?」と、アイス。
「そうそう。正直に、くもりの無い眼で……」
「あ!」
「なに?!」
「昨日食べたピザにそっくり!」
ガチャン。と、Mrは無言でスロットルを加速させた。《ケッセル・ランを十二パーセク》だよ?!これだから最近の若い奴らはよお!!
直後、船はハイパードライブに入った。
(続く)