第十九週:ピザとガラクタ(月曜日)
「リチャード・P・シルバー?」と、渡された名刺データを確認しながらMr.Blu‐Oが訊いた。「メールでやり取りしてた人?」
「ええ、そのリチャードです」と、そのニヤケ面を一つも崩さず、その某F社医薬部門営業担当は答えた。「タイム・パトロールの知り合いに貴女のことを話したら、『一度ご尊顔を拝見しておけ』と言われまして……」
「タイム・パトロールの知り合い?」――TP勤務は、本来、口外法度では?
「まあ、弊社ほどのグローバル企業になりますと、その、あー……」――相手の知らないことまで相手を知ることもありますし。
「ああ、」――まあ、今更驚きもしないけどさ。「でも、レフグリス王子のフェロモンなら、もう十分取れたでしょ?」
「ああ、もう、それはお陰様で!」と、儲かって仕方がないと云う感じの声でリチャード。「で、ただ、それとは別のご相談が……」
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「いやいやいや、そりゃアカン」と、焦りながらショワ=ウーが言った。「いくら元・許婚じゃ言うても、勘当の身じゃ。セトルドウンの皇女さまと同じ船には乗れんよ」
「つまらんこと言いなや、このゴンタクレ」と、そのアニメキャラみたいなキラッキラの瞳を輝かせながらスピ=ヤビノ第一皇女が応えた。「許婚以前に幼なじみやろう。こちとらお前の(*自主規制)も(*自主規制)もよう見知っとんねん。オヤジさんにはワシからキチンと詫びなり説明なりするけえ――」
「ああ、いや、それでも、世間体が――」
「世間気にするガラか、こんダボ――」
と、二人の話し合い(ケンカ?)は続くようだが、この様子を傍で見ていたエルテス王が、「アレは一体、何のお話合いかね?」と、偶々居合わせたセイ・カハに訊いた。
そこでセイは、「《放蕩息子の帰還》をどうするか?……だそうです」と、答えた。
(続く)