四章 第十一話 シーン1〜2
1
時間は──少しだけ遡る。
ラファとマリーは帝剣の前で、険しい顔で話し合っていた。
「だめね。何度やっても変わらない。自分達の考えで動けって。敵がそこまで迫ってきてるのに」
「帝剣が敗北を認めたか? 或いは何かを試しているか」
マリーに言われてラファは考えた。
しかし可能性はまだ有るはずだ。
「単に故障しただけじゃない? 私達、頼りすぎてたかもね」
マリーがラファへと指摘した。ラファには受け入れがたい現実を。
ラファは帝剣を得る以前から、常に正しい道を進んできた。その結果築き上げた帝国だ。間違っていたなどとは思えない。
しかし現実は現実だ。
「とにかく私は防衛にでるわ。たぶん勝てないと思うけど。お兄様はどうする? 逃げてみる?」
「いや。僕はこの上で奴を待つ。父上ならわかっているはずだ。僕達の今の状況も、帝剣に何が起きているのかも」
ラファは帝剣を見上げて言った。
「その上で勝つ。僕らは、絶対に」
「そ。じゃあ行くわ。またねお兄様」
マリーが溜息混じりに言って、玉座の間から去るため歩き出す。
それでもラファは帝剣の刃を、穴が開くほど強く見つめていた。
2
青空に浮かぶ三機の機兵。ドラウガル。メルフィリス。フェルトマール。アズマ達はその内二機の中で、マリーの話を黙って聞いた。
マリーは直ぐには戦わず、アズマ達に事態を説明した。
おそらく時間稼ぎが目的だ。稼げたのは五分に満たないが。
「そんなワケで私はここに居るの。だから大人しく逃げてくれるなら、私は貴方達を追わないわ」
話が終わってマリーが言った。
が、マリーにもわかっているはずだ。
「残念だがその提案は呑めん。奴は数少ない私の友だ」
「私はその、一応妻ですし……」
アズマとリリエはマリーに言った。
「まーそうよね。普通に考えて」
圧倒的に有利な状況で、逃げ出す戦士など何処にも居ない。逆ならあり得なくもないのだが。
「お前こそラファを裏切れよ。奴がオヤジに勝てると思うのか?」
「そうですよお姉様。止めましょうよ」
ロンとアリスがマリーに言った。所謂、説得というヤツだ。
「悪いけどこっちにも意地があるの。今更後には退けないわ」
しかしマリーの方も頑なだ。それにとっくに覚悟は決めている。
「ふ。ならば楽しませて貰おうか」
「私は楽しくないですが、ガルグ様のためにも倒します」
「だったら交渉決裂……ね!」
二人が言うとフェルトマールから、風の刃が放たれ飛んでくる。
そんな物は牽制に過ぎないが、殺し合いの火ぶたを切る魔法だ。
こうして二対一の戦いが、晴天の空の元に始まった。
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