四章 第十話 シーン1〜2
1
静かなる帝剣の目の前に、三人の聖剣が集っていた。
ラファはマリーと激論を交わす。その議題は考えるまでもない。
「やはり帝剣に問題があるか、父上が何か策を講じたか……」
「あるいはゼオが指示を無視したとか?」
「それは無い。奴は裏切るとしても、堂々とそれを言ってくるだろう」
「あー。まあそれは確かにね。愚直がモットーみたいな奴だし」
何故ゼオは敗れ、持ち去られたか。
その議論にリーネが口を挟む。
「あの〜、もしかしてなんですが〜」
「なんだリーネ。意見があるなら言え」
「まだ〜帝剣様の予想通り〜。と、言う事ではないですか〜」
ラファが聞くとリーネが返事した。
彼女の意見は帝剣が、ゼオを奪わせた──と言う事だ。無論その理由も考えていた。
「ゼオお兄様が生還すれば〜、あちらの情報が得られるのでは〜?」
「工作員にしたということか?」
「そうですね〜。平たく言うとですが〜」
リーネに言われ、ラファは腕を組む。
「確かに。あり得そうな発想だ」
「そうね。私もそれはそう思う」
そしてラファもマリーも同意した。
確かにゼオは全力で戦い、その上で連合に奪われた。それに帝剣ならば脱出の、手引きも難しくはないだろう。
「帝剣の思惑は計り知れん。ここはまだ従っておくべきか」
ラファは帝剣を見上げて言った。
2
その頃──クーダーの会議室。ガルグ達作戦の参加者と、倒されて奪われたゼオが居た。
「父上ですか。お久しぶりですね」
「お前にオヤジと呼ばれると、なんかこう違和感が生じるな」
ガルグはゼオの言葉にそう返す。
「ゼオは──お父様のお父様。その姿を模した聖剣ですの」
そのワケをルナが補足した。
「へえ。あんまり似てない感じよね」
「ふ。目つきの悪さはそっくりだ」
するとマユとアズマが好き勝手、ガルグの後ろで言っている。
しかしガルグはそれを無視し聞いた。話を前へと進めるためだ。
「おいゼオ。帝国は今どうだ? 可能なら内情を聞きたいが……」
「断る。俺は帝国の剣だ」
「ま、お前なら言うと思ったが。それなら黙って聞いていろ」
ガルグはゼオにキッパリ断られ、それでもニヤリと笑って言った。
「そもそもお前ら聖剣は、帝剣の危険度がわかってねえ」
そして帝剣について語り出す。
「どーせお前ら馬鹿のことだから、上から順に人類の存続。世界平和とか願ったろ。で、三番目が政治関係だ。たぶん聖剣が人類を、導くとか大体そんなんだろ」
「それが?」
「お前らも知っての通り、一番目の目的が優先だ。つまり人類存続のためなら帝国も聖剣も無視される」
ガルグは彼等の知らないことを、帝剣から直接聞いていた。
「因みにドワーフ共はそのせいで、自らの国を滅ぼしたからな? 奴らの一番目の目的は、神聖視する山を守ること。二番目がドワーフの繁栄だ」
帝剣を作ったドワーフの国。それは帝剣によって消え去った。ガルグの推測ではあるのだが。
「だがドワーフが繁栄していくと、いずれは自然との調和を捨てる。帝剣はそれを悟ったらしい。同じ考え方の部下を増やし、一気にドワーフ共を滅ぼした」
ガルグはゼオに結論を告げた。
しかしゼオには疑問があるようだ。
「だが目的は変更出来るはず」
「あのなあ。少しは考えろ。帝剣もそれは知っているんだよ。目的を変更されないように、振る舞うくらい奴ならワケはない。つまり実際は一番最初に、設定した目的が果たされる。それ以外はおまけみたいなもんだ」
その疑問もガルグは解決した。
さて、ここからが本題だ。つまり帝国がどうなるか。
「良いか? ラファは賢論種は馬鹿で、導きが必要だと思ってる。マリーは同じ様な考えだが、自分でやるのは死んでも嫌だ。アイツは自由が好きな奴だしな。で、お前は難しいことよりも目の前の物を守りたい。最後にリーネは戦争嫌いで、既に帝国を裏切った」
ガルグは、聖剣を知っていた。彼等はガルグを切り取った物だ。
故に考え方も結論も、おそらく未来すらも予測出来る。
「人類の存続と世界平和。それをやるのに適した指導者がもしラファでなくて俺だった場合、帝国で消えるべき者は誰だ?」
「ラファと、マリーか?」
「残念外れだ」
ガルグはゼオへと結論を告げる。
「人類の存続に要らない物。それはラファと──そして帝剣だ」
ガルグは一切笑うことはなく、ゼオを険しい視線で貫いた。
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