四章 第七話 シーン3
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時代は進んで現在のガルグ。
椅子に腰掛けるヘイザーに対し、ガルグはそこまでの説明をした。
しかし情報はまだ足りていない。ヘイザーはそう判断したようだ。
「それで、その後どうなった?」
「別に何も。話してサヨウナラだ」
しかしガルグはヘイザーへと告げた。
とは言え、話はまだ続いている。
「ただし帝剣の能力と、詳しい仕様を説明させた」
「では知っているのか? その正体を」
「まあな。開発者ほどでもないが、聖剣共よりは詳しいだろう。今からそれを説明してやるよ」
ガルグは言って解説し始めた。
「まず帝剣は王様とは違う。何か目的を達するための、最適解を提示するツールだ。そのために目的を設定する」
「例えば『連合を滅ぼす』とかか?」
「まあそれでも良いが問題がある。設定可能な目的は三つ。しかも設定変更出来るのは、十六年のスパンで一回だ」
ガルグは後学のため帝剣の、かなり細かい仕様を聞いていた。
「三つ? あまりにも少なくないか?」
「それ以上だと精度が低下する。だが逆に言えばその範囲でなら、相当高精度の指示が出る」
「設定スパンは?」
「それも同じだな。更に言えば帝剣本体の、混乱を防止する効果もある。目的をころころと変えられたら、いくらなんでも混乱するだろう?」
その仕様をガルグは説明する。
「因みに目的は上から順に、優先度が設定されている。例えば一番目が『殺せ』、二番目が『命を救え』の場合、一番目が優先されるわけだ。まあ本当はもっと細かいが、それ以上は時間がかかるからな」
「なるほど。概要は理解した」
するとヘイザーも頷いた。
だがしかし、同時に腕を組む。
「問題は設定した『目的』か?」
流石にヘイザーは理解が早い。
それこそガルグの意図したところだ。
「ああ。アズマが情報を得たのも、お前が助かったのも必然だ。聖剣共が理解しているかは、正直微妙なとこだがな」
ヘイザーの誘拐の成功は、帝剣の導きによるものだ。だが奪還されると知っていれば、殺す方向に持っていくだろう。帝剣にはそれほど力がある。
ガルグは帝剣の持つ危うさを、おそらく今、誰よりも知っていた。
「おいヘイザー。何故そんな帝剣が、聖剣共の手に落ちたと思う?」
「聖剣達が強奪したからか?」
「いや。バリオスが滅んだからだ。おそらく帝剣からの『導き』で」
バリオスは──思考を放棄した。ガルグはその末路を知っている。
「何故それほど優れた文明が?」
「残念だが秘密にさせて貰う。それも結果を変えかねないからな」
ガルグはヘイザーに問われて言った。
「だがおそらく俺達は勝利する。問題はその経過と収拾だ。奴は目的を達するためならどんな事象も全く気にしない。人死にも国家の滅亡さえも」
ガルグは脳をフル回転させて今もその帝剣に挑んでいた。ガルグは過程も重視する。それが帝剣との違いであった。
第七話終。
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