四章 第四話 シーン2〜3
2
帝剣と呼ばれる巨大な剣が、鎮座する帝国の玉座の間。そこで腕を組み待つラファの元に、マリーが歩いて近寄った。
ラファは近寄りがたい雰囲気を、放っているが気にはしないらしい。
「マリー。どうして任務を放棄した?」
「アリスとロンが目的地に来てた」
ラファが聞くとマリーが返事した。端的だが、それで十分だ。
「動きが早い。流石は父上か」
ラファは聞いて大きく腕を組んだ。
その表情は余計に硬くなり、心は大きく揺さぶられている。しかし表面的には冷静だ。
「しかし目測を誤るとはな。帝剣の性能の限界か、情報不足が原因か……」
「たぶん後者でしょ。なにせあっちには、ルナお姉様が着いているんだし」
「確かに。姉上の力なら、情報は多量に集まるだろう。それがこちらに欠けている物か」
ラファは言うと帝剣に目を向けた。
それはただ静かに魔力を纏い、この玉座の間に設置されている。
「とにかくお前が見てきた物を、帝剣に入力し様子を見る」
「賛成。だけどこれだけは言うわ。私と貴方は対等よ。決定権は私達にある」
ラファがそのままで命じると、マリーは不機嫌そうにそう言った。
3
話は進んで機兵製造所。
エミリーは遂にレグスの機兵の、もっとも新しい部分に触れる。
「それでは皆さんお待ちかね! 飛行ユニットに行きますよ!」
エミリーは言うと図を書いた。
「まずは大前提としてですが、種族によって得意な属性の種類が全く違います。そのため飛行用のユニットも──機兵によって仕組みが違います」
図は可愛らしい機兵の絵であり、その下にまずは波線が入る。
「その中で最も重要なのが、空中に浮かぶ機能です。しかも可能な限り省エネで」
波は浮かんでいる表現らしい。
「例えば人間用機兵なら、炎を吹き出しても飛べますね。でもそれで空中に留まるには、多量の魔力を必要とします」
エミリーは言うと、フワリと浮いた。もちろん魔法の力でだ。
「そこで浮かんだりするのには、力場系の魔法を使います。人間で言うと電気と金の属性で、電磁浮遊するわけです。エルフや人魚だと光と土で、星属性の力場が生まれます」
つまりエミリーは今複合の、星属性の力場で浮いて居る。
「一方高速推進や、旋回には火や風、水ですね。力場系も合わせて用いれば、アクロバットも夢じゃありません。まあそこまで使いこなすとなると、努力かセンスが要りますけどねー。あ、訓練は基本必須ですよ」
エミリーは着地して言った。
すると一人エルフが手を上げる。小さくて解りづらくはあるが。ムース・コロニーの姫、アメリである。
「どうした。小さい方のお姫様」
ガルグはそのアメリに向けて聞いた。
「何故この場所に我らを呼んだのだ?」
「鋭いな。エルフの姫の割りに」
その質問の意図を理解して、ガルグは皮肉を交えて言った。
「お察しの通りこれは手土産だ。なにもなしに同盟と言ったって、エルフ共が納得しないだろう?」
「言うではないか。言いにくいことを」
「俺は嘘や建前が嫌いでな」
連合が情報を提供し、その見返りとして同盟を組む。既にリリエが恩を売っており、ここで断れば恩知らずである。少なくともそう感じられるよう、ガルグは軍事機密を開示した。
情けは人のためならず戦略。名付けるならそんなところであろう。
まあアメリの方も講習会の、話を受けて気づいて居たはずだ。当然薄々ではあるのだが。
それでも来るかも試していたし、ガルグも色々と考えたのだ。
とにかくこれでエルフの中に居る、同盟反対派も折れるだろう。
「お主、種族云々は別にして、性格が悪いにもほどがあろう」
「だな。治す気は全く無いが」
ガルグはニヤリと笑って言った。
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