四章 第四話 シーン1
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レグス王国に新設された、機兵の製造・研究施設。そこは人魚の国の製造所に、酷似した広大な施設だった。エミリー主導で建設したので当たり前──と言えばそれまでだが。
朝っぱらからその施設の中に、愉快な仲間達が集まった。もっともメンバーの半分ほどは、通信魔法体での参加だが。
司会を務めるガルグとエミリー。それとティア、ルナ、マユ、ニノとサシャ。ついでにマスコットのルルとレイ。ここまでがここに『居る』メンバーだ。
一方リモートでの参加組は、まずツリーランドからヘイザー。エルフ・コロニーからはエルリア、ミア。
そしてここからが重要なのだが、もう一つのコロニーのメンバーもリモート参加組に入っている。交渉に行ったリリエとアズマ。彼等の剣であるアリスとロン。そして姫のアメリとその護衛、マイラで合計十八人だ。
随分大所帯になったのだが、これでも絞ったので仕方ない。
「とぅっとぅるー。それでは行きますよ!」
「ガルグー」
「エミリーのー」
「「機兵の仕様と性能口座ー」」
ガルグは無茶苦茶棒読みで、エミリーは逆にノリノリで言った。
「と、言うワケでここからは真面目だ。ここに集まった諸君には、機兵のイロハを学んで貰う」
「機兵は浪漫溢れる新兵器! まだまだ歴史が浅いですからね」
「浪漫はともかくそう言う事だ。なお、あまりにメンバーが多いので発言者は事前に挙手をしろ。指名されたら発言を許可する。五月蠅い奴は即追い出すからな?」
ガルグはエミリーと説明をした。
今からこの施設で開かれる、機兵技術講習会について。これはガルグが言った意外にも、色々な効果を狙った物だ。そのためにアメリとマイラを呼んだ。
「ではエミリー。講師を頼んだぞ」
「お任せを! それでは手始めに──機兵とは、結局なんなのか。そこからお話を始めましょうか」
と、言うワケで講師のエミリーはガルグに促されて話しだした。
「多少推測も混じってますけど、細かく突っ込まないでくださいね。機兵とはずばりエルダーの、巨人を模した人型兵器です。ご存じの通り魔力で動き、魔法の使用すら可能にします。戦争の概念すらぶち壊す、強力無比な巨大兵器です」
まずは機兵技術の概要から。
「これは機兵が操縦者の使う、魔力のロスを減らすためですね。実は魂だけで考えれば、人はもっと魔力を使えます。ただ肉体が低性能なため、多量のロスが発生するのです。魔力を生み出すタイミング、魔力を活用するタイミング。その両方でロスが発生し、結果よわよわになってしまいます」
当然それにはまず魔力からだ。機兵は魔力で動作する。その説明は避けては通れない。
「本来魔法を使うには、機兵サイズが必要なわけです。まあ、他にも色々とありますが。基本的にはやはりここですね」
エミリーは黒板に可愛らしい、絵を描きながら説明して行った。
するとここでツリーランド国王ヘイザーがスッと手を上げる。
「なんだヘイザー。発言を許可する」
ガルグはそのヘイザーを指名した。これが講習会のシステムだ。
これでヘイザーは会話を許され、質問や反論が可能になる。
「先ほどサイズの話が出たが、大きさは性能に比例するか? もしそうならもっと巨大にすれば、より強力な機兵が作れるか?」
「良い質問ですねー。ヘイザー君」
エミリーはヘイザーに質問され、褒めながら解説を開始した。
「確かに機兵を大きくすれば、性能が上がる『かも』しれません」
「つまり問題があるんだな?」
「はい有ります。大いに有るんです」
エミリーはみよーんと目を細めた。
「最初に話したと思いますけど、機兵は巨人を元にしています。その巨人のサイズがあれなので、そのまんまのサイズなワケですね」
「なるほど。それを大きくしても……」
「性能が上がるはずがありません。もっと大きい巨人が見つかれば、手っ取り早く作れますけどね。まあ今は巨人にも及ばない、デッドコピーな状態なのですよ」
「よくわかった。解説感謝する」
「いえいえー。これが浪漫ですからね」
エミリーは言ってガッツポーズした。
確かに大変な役目であるが、彼女にとっては楽しいはずだ。何せ自分が大大大好きな、オタク知識を披露しまくれる。
「それでは続けていきますよー!」
エミリーは左手を挙げて言った。
そしてガルグはその隣に立って、同時に別の事も考えた。
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