三章 第十一話 シーン1〜2
1
ガルグが目を覚ました次の朝。ようやくガルグはベッドを降りて、一つ大きくうーんと伸びをした。
相も変わらず御神体の前。レイレリアはまだ丸くなっている。
しかしガルグはレイレリアと違い、やらねばならない事がある。そのために今この場所には既に、人魚二人とティアとルナが居た。
「で、これがエルギア・マークスリーか?」
「そうです! 浪漫が全開ですよ!」
ガルグが聞くとエミリーが答えた。
今目の前にそびえ立つ機兵は、昨日運ばれて来た物だ。確かにエルギア感も有るのだが、材質を含めて弄られている。また装甲色も変えられており、武器の杖も改良されていた。
「随分とイメージが変わったが……」
「こっちの方が格好いいかなって」
エミリー的には格好いいらしい。
だがガルグとしては外観よりも、性能の方が重要だ。
「具体的にはどこを変更した?」
「まず材質を全て変えました。せっかく盛大に壊れてたので、修理ついでのパワーアップです。魔力伝導性の上昇と、耐久性も遥かに増しました。この仕様なら魔力融合にも二割くらいは耐えられるはずです」
「ホントに急にパワーアップしたな」
「実は偽魔獣に使われていた鎧からフィードバックしています。さすがエルダー時代の技術です。浪漫に溢れていますよね!」
「安全性は?」
「心配ありません! テストもちゃんと行いましたから!」
エミリーの言が事実なら、全く心強い限りである。何せこれからエルギアは単機で、敵の本拠地を叩くのだから。
「ホントに貴方一人で行くつもり?」
その件についてマユが聞いてきた。
だがガルグの答は決まっている。
「足手まといは必要無いからな」
強化前のエルギアの強さでも、友軍機は邪魔になるだけである。守らなければならないだけでなく、広範囲の魔法も撃てなくなる。
それに攻撃を凌いだことで、本拠地の戦力は減ったはずだ。それなら数が増えてくる前に、潰すのが最善の策だろう。
ガルグは軽くストレッチをすると、ティアとルナに背を向けたまま言った。
「行くぞおまえら。これで終わりにする」
遂に蛇魔獣との戦争に、決着を付ける時が来た。
ガルグは成すべき事を成すために、エルギアのコクピットに飛び乗った。
2
ガルグは新エルギアに乗り込んで、海中をスムーズに進んでいた。
本来は真っ暗な深海だが魔法でちゃんと可視化されている。それにルナの傀儡を使用して、地形は既に把握済みである。
「ルナ。敵の拠点の兵力は?」
「予想通り減少してますの。あの大型の個体もいませんの」
ガルグが聞くとそのルナが答えた。
「そりゃ何よりだ。死にたくないからな」
相手は古代エルダーの遺跡だ。ガルグにも何があるか解らない。
だがその拠点を潰さない限り、この戦争は続いて行くだろう。
「ティア。エルギアの調子はどうだ?」
「全機能、問題は有りません」
ティアによるとエルギアは十全だ。今ガルグが頼れるのはティアと、ルナとエルギアの三つだけである。
正直その全てが怪しいが、手持ちのカードはいつも選べない。
「まったく。貧乏くじばかりだな」
ガルグは嫌な顔で呟いた。
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