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装虹のエルギア  作者: 谷橋ウナギ
第三章『青と赤』

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三章 第七話 シーン1〜2



 ここは人魚の国の端。泡のドームは少し行くと途切れ、代わりに海水が広がっている。

 ガルグはティアとルナを引き連れて、この場所で人を待っていた。

 するとエミリーからの声が届く。もちろん魔法の通信で。


「ガルグ様ー! お連れしましたよー!」

「助かった。引き続きで悪いが……」

「パーツですね。そっちも急ぎます!」


 エミリーが言うと数秒後。海から機兵の影が現れる。エミリーが乗った海機兵。そしてそれに抱えられた機兵だ。ガルグの目当てはもちろん後者。地上から連れてきた機兵である。

 その機兵は泡のドームに入り、着地すると自力で歩き出した。ガルグへと向かって一直線に。その機兵をガルグは知っている。

 リリエの聖機兵、メルフィリア。青い水晶が特徴の、レグス王国軍所属機兵だ。

 その機兵の操縦室が開き、中からリリエが飛び降りた。もちろん聖剣のアリスと共に。

 そしてリリエは前に進み出て、ガルグに向かって軽く会釈した。


「ガルグ様。お久しぶりですね」


 彼女の瞳に薄らと、涙が滲んでいるように見える。留守にして数日でこれならば、一ヶ月も開ければ大変だ。

 リリエは祈る様な格好で、そのままガルグの胸に倒れ込む。


「久しぶりってほど……って何してる?」

「ガルグ様を堪能しています」


 意味不明だがこれも仕方ない。彼女のことを呼んだのはガルグだ。

 だが一つ大きな問題がある。


「あの……ところでガルグ様」


 リリエは離れおずおずと聞いた。


「ガルグ様の後ろに居るお方は……」


 リリエが言っているのはルナだろう。ルナはかつてゼイガスを統率し、争乱を起こした張本人だ。レグス王国の王族の仇──と、言っても良い存在だろう。


「この可愛い顔を忘れるなんて、その歳で痴呆症ですの?」

「この魔剣、叩き折って良いですか?」


 ルナに煽られてリリエは言った。

 リリエは顔こそ笑っているが、その目は全く笑っていない。険悪どころではない雰囲気だ。

 放っておけば殺し合いになる。


「やめろルナ。リリエも冷静になれ。こいつは防衛戦に必要だ」


 と、言うワケでガルグは制止した。

 人魚の国を守り切るためには、ルナもリリエも両方必要だ。


「俺がこいつを持っている限りは、ルナも悪さするのは無理だしな」


 ガルグは言って腰に付けていた、魔剣クルエルナをリリエに見せた。その刀身は蔓で巻き付けられ、全く見えないようになっている。


「オーダーメイドの鞘ですの」

「お前の刀身は複雑すぎて、普通の鞘がつくれねーんだよ」


 ガルグはルナに言われ反論した。


「ガルグ様がそうおっしゃるのなら」


 リリエも納得したらしい。彼女は国を焼かれる悲しみも、命の重さも知っている。人魚の国を守るためならば、仕方なくも矛を収めるだろう。

 とにかくこれで戦力は増えた。だがまだ全く足りてはいない。

 その最初からすったもんだがあり、ガルグは頭が痛かった。



 取り合えずリリエを出迎えた後、ガルグ達はエルギアに乗っていた。エルギアは普段の装備と違い、右手に拾った杖を持っている。ただし魔剣には逃げられぬように、操縦席の裏に取り付けたが。そんな訳で操縦室の中は、ガルグとティアとルナの三人だ。

 その状態でエルギアは外へ。海の底に単機で立っていた。


「今更だが本気で手伝う気か?」


 ガルグは未だ懐疑的である。


「ふふ。大丈夫ですの。お父様」

「その大丈夫が信用ならん」


 ルナは言うが彼女は魔剣である。

 とは言え今は信じるしかないが。


「まあ良い。ティアも準備は良いな?」

「はい。ご主人様。いつでもどうぞ」


 一方こちらは従順だ。ガルグとしても信用が置ける。

 と、言うワケで対極の二人と──共に作戦を開始した。


「じゃ、今からやることの確認だ」


 ガルグは二人に対して言った。作戦は二段階である。


「まずレイの言葉を一応信じ、ティアと協力して魔力を溜める。やり方はレイに聞いてきた」


 一段階目の鍵はティア。


「その魔力でエミリーから借りた、機兵のパーツを傀儡へと変える。人魚以外で水中戦闘が、可能な兵力を一気に増やす」


 二段階目の鍵はルナである。


「残骸でないのが残念ですの」

「また不穏当な発現を……」


 ガルグはルナへとツッコんだ。

 既にエルギアの周囲には、機兵のパーツが転がっている。エミリーに借りてきた物で、傀儡機兵の元になる物だ。

 傀儡機兵は操縦者が要らず、ゴーレムより造るのが楽である。その上破壊されてしまっても、人的な損害は全く無い。敵だと厄介としか言えないが、味方となれば実に心強い。


「まあとにかく以上が作戦だ。と、言うワケで早速始めるぞ」


 ガルグは言って横のティアを見た。するとティアもコクリと返事する。


「よし。行くぞ」


 作戦開始である。


「「魔力融合」」


 二人が唱えると、エルギアの魔力が──増大する。オーラは見えるほど強大になり、虹色の光が機体を包む。


「こいつは……予想以上だな」


 ガルグは思わず呟いた。

 これなら魔力を溜めずとも、直ぐに傀儡魔法を始められる。


「ルナ。行くぞ」

「はいな。了解ですの」


 そこで今度は傀儡を創り出す。


「「禁呪・魔剣狂機傀儡生成」」


 すると周囲のパーツが浮き上がり、そこに樹木の蔓が絡みつく。それは瞬く間に人型となり、機兵と遜色ない姿となる。しかもガルグにとって忠実な。


「上手く行ったか?」

「大成功ですの」


 幸い魔法は成功だ。これで戦力が大幅に増えた。

 が、ここで一つ問題が起きた。


「ティア。魔力が収まらないんだが?」

「すみません。私も初めてなので……」

「出力を落とせ!」

「努力しています」


 ティアとガルグの魔力融合が、全くもって制御できていない。このまま魔力が上がり続ければ、その内エルギアが壊れてしまう。


「仕方ない。魔力融合を解除!」


 そこでガルグはリンクを解除した。

 だがエルギアの魔力はそのままだ。


「放出する! 間に合え、闇光線!」


 ガルグはその魔力を放つため、エルギアの杖から光を放つ。闇属性魔力がビームとなり、遠く海底にある、山を穿つ。

 想定外の大爆発である。最初は衝撃波が訪れて、その後爆心地に引っ張られた。

 幸いエルギアと傀儡は無事だ。とは言え綱渡りの成功だが。


「こりゃ力を抑えていかないとな」


 ガルグはその様子を見て言った。


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