三章 第四話 シーン1〜3
1
どうして、こんな事になったのか。今ガルグはティアとマユをはべらせ、二人といわゆるデートをしていた。人魚の国は確かに綺麗だが、出来ることなら一人で回りたい。
なのに何故デートなどをしているか──その原因はレイレリアにあった。
2
サーペントを殺した次の朝。ガルグはレイレリアに呼び出された。もちろんティアとマユも一緒である。
ガルグはレイレリアの神殿で、朝っぱらから巨体を仰ぎ見る。
「で、何の用だ? 用有るんだよな? 無かったら今すぐ帰って寝るが」
『そう怒ることもないでしょう。貴方にはとても良い話です』
ガルグがキレると、レイが微笑んだ。いや竜なので表情は謎だが、頭に響く声は笑っている。
その様子からガルグは予測する。
「じゃあ鎧の解析が済んだのか?」
『いいえ。そちらはまだエミリーが。今日の内に終わると良いのですが』
だがガルグの予想は外れていた。では一体なんの用が有るのか。
『実はエルギアからのデータを見て、気づいたことがあるので呼びました』
「あー。エミリーに流してた奴だな」
ガルグはレイに言われ思い出した。
訓練の際にエルギアの、データをエミリーへと送ったのだ。おそらくサーペントとの戦いも、一緒に解析されているだろう。
「で、そのデータがなんだっつーんだ?」
『ガルグ。貴方はエルギアを……いえティアを使いこなせていません』
レイがガルグを見下ろして言った。
『本来のティアは貴方の精霊。その魔力を使用出来るはずです』
「竜に魔法学って奴だろうが、一応説明してやろう。人間にも精霊にも固有の、魔力の質ってもんがある。それを戦闘中に合わせるのは、至難の業どころの話じゃない」
しかしガルグはそれを否定した。
だが話には続きがあるらしい。
『確かに。容易ではありません。ですが情報を見る限り、それが出来るように創られている。問題は貴方か彼女の意識。若しくはその両方にありましょう』
つまり精神的な問題で、力を出し切れないと言う事か。にわかに信じがたい話だが、本当ならガルグには朗報だ。
「まあ、その話を信じるとしてだ。どうすりゃ解決出来るんだ?」
『お二人とも、仲良くなりましょう』
「寝る」
『そう言わずにお願いします。これも全ては謎を解き明かし、民の安寧を守るため』
「どんな紐付け方だ。馬鹿なのか?」
しかしガルグはかなり渋っていた。
相手がティアかどうかに関わらず、ガルグの協調性はゼロである。人を利用するのは得意だが、関係を築くのは苦手なのだ。
そんなワケでガルグは逃れるため、無駄と知りながら拒否し続けた。
3
「どうして、こんな事になったのか」
ガルグの口から本音が漏れた。
結局はレイに押し切られ、ガルグとティアは人魚の街に居る。因みにマユは案内役である。
「ちょっと。心の声漏れてるわよ?」
そのマユからガルグは指摘された。
だが、ガルグにとても言い分はある。
「大体なんで俺が観光だ?」
「仲良くなると言えばデートでしょ」
「デートじゃねえよ。観光だ」
「どっちでも良いわ。減る物じゃないし」
マユはガルグの人間関係を、知らないから好き勝手言えるのだ。政略結婚だが妻が居て、エルフ連中にも目を付けられた。これ以上揉め事が増加したら、別の意味で命を狙われる。
「ご主人様。申し訳ありません」
と、その様子を見てティアが言った。これではまるでガルグが悪者だ。
「いや。お前が悪いわけじゃない」
「そうそう。悪いのは全部ガルグよ」
「うむ。俺が全部……悪くねえ! 悪いのは全部この世の中だ」
ガルグは心の叫びを吐いた。
だが心の内をさらけ出しても、事態が好転するワケもない。
「クソ。時間の無駄は避ける主義だ。お前ら、行くならさっさと行くぞ」
ガルグは言うと街を歩き出した。
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