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装虹のエルギア  作者: 谷橋ウナギ
第二章『剣』

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二章 第九話 シーン1〜2



 既に太陽は真上から、ガルグにサンサンと照りつけていた。血を分ける儀式から半日後。ガルグはまだ病み上がりのリリエと、ナイフを持って向かい合っていた。もちろん、リリエの武器は聖剣だ。

「ガルグ様。無理を言ってすいません」

「なら今からでもベッドに戻れ」


 ガルグは一応彼女を止めたが、リリエはそれで聞くタイプではない。


「ですが時は待ってはくれません。一刻も早く試したいのです」


 リリエは言って聖剣を構えた。

 彼女は実戦形式で、自らの強さを試したいのだ。それなら勝手にやらせておくより、ガルグが相手をした方が良い。もしもの時は直ぐ対処出来るし、おそらく殺られることもないからだ。


「ならせめて加減しながら戦え。まだ無理できる体じゃないからな」


 ガルグはリリエに対して言った。何故なら彼女が思うよりずっと、彼女は強くなっているからだ。

 それに聖剣も持っている。

 そんな訳でガルグは忠告し、その上で模擬戦を開始した。


「じゃあ始めるぞ。お前から仕掛けろ」


 先手はリリエ。それがルールである。機兵でやった模擬戦と同じだ。ただし今回は色々と、前回とは勝手が違うのだが。


「結晶弾!」


 リリエは発動した。魔法は前の時と同一の、結晶の矢を作り飛ばす物だ。ただしリリエは儀式を受けたので、エルフ式の魔法に変わっている。

 とにかく結晶の矢が作られて、ガルグに向かって飛んできた。それはもう連続で次々と。


「鉄障壁」


 ガルグはその魔法を、障壁を展開し遮った。

 すると結晶は地面に落ちて、うずたかく山のように降り積もる。


「おいこら。加減しろと言っただろ」

「すみません! 直ぐに止めますね」


 言われてリリエはようやく止めた。

 もし相手が普通の騎士ならば、今頃結晶の矢で蜂の巣だ。


「こりゃ別の特訓が必要だな」


 ガルグは大きく溜息をついた。



 リリエとの特訓を終えた後。ガルグは首都レグスを歩いていた。復興真っ只中の街並みはどちらを向いても賑やかだ。大工仕事に勤しむ男達。揉め事の仲裁をする騎士達。大通りには露店も建ち並び、果物やパンなどが売られている。

 ガルグはリリエとティアと言う、両手に花で街を進んで行く。一人で行くと言ってはみたのだが、例によって押し切られたのである。

 さて、そんなガルグのお目当ては──


「これはレグス王! 良く来られました!」


 一人の鎧を着た男だった。彼の名はニマス。レグスの騎士で、復興の指揮を執る人物だ。


「ニマス。どうだ復興の具合は?」

「驚くほど早く進んでいます。これも全て王様のおかげです!」


 ニマスは目を輝かせて言った。

 ここは謙遜したいところだが、ニマスの迫力は大したものだ。


「人間では鉄材は作れても、木材や石材は無理ですから。エルフはそれを作り出せますし、皆勤勉で頭が下がります! その上食料まで頂いて、このご恩は終生忘れません!」

「あー。そいつはなによりだ」


 ガルグは仕方なくニマスに言った。

 まあ実際エルフが居なければ、まだ街の大半が焼け野原だ。とは言えガルグはハーフであって、エルフから迫害される立場だ。人間は人間ではないと言い、エルフはエルフでないと言う。

 襲いかかられるのも面倒だが、懐かれるのもこれで面倒だな──ガルグは心の中で呟いた。

 だがハーフエルフのガルグのことを、良く思わない者も当然居た。


「下賤なハーフめ! 天誅を下す!」


 街の路地の奥から唐突に、四人組の男が現れた。全員鎧を着ていることから、直ぐに人間の騎士だと分かる。単にガルグが気に入らないだけか。それともハーフに対する差別か。どちらにしても結果は同じだが。

 とは言え彼等も国民だ。取り敢えず諭す義務がある──と、ガルグが思った瞬間に、横に居たはずのリリエが消えた。神速で騎士達に接近し、蹴りや柄での打撃で瞬殺する。まあ正確には半殺しだが、リリエは瞬く間に制圧した。


「ガルグ様は素晴らしいお方です。貶める者達は許しません」


 そしてリリエは四人組に言った。絶対に聞こえていないはずだが。

 力は使いこなせているのだが、その使い方には問題がある。


「やっぱり止めときゃ良かったか?」


 ガルグはその様子を見て言った。


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