二章 第六話 シーン1〜2
1
援軍が着いた日のお昼前。第一時限目『魔法学』。そう書かれた黒板の前に立ち、ガルグとティアは生徒を待っていた。
するとへろへろの三人と、聖剣の精霊が現れる。リリエと、サシャとニノと、アリスである。その内二人はガルグの部下だが、この授業のため招集をかけた。
四人は置かれていた木の机に、椅子を引いて次々腰を下ろす。しかして授業が始まる前に、ニノが高々と右手を挙げた。
「はいニノ君。発言を許可しよう」
「では聞きますが、なんですかこれは? 私達、疲れているんですが」
「知ってる。俺も疲れてるからな」
ガルグは聞かれてニノへと答えた。明らかにずれた答だが、ガルグは彼女達の上司である。つまり決定は絶対だ。
と、言う訳でチョークが飛翔した。
「ふにゃあ!」
「サシャ寝るな。授業中だ。いや正確には始まってないが」
「ふぁーい。それまでがんばりまーす」
サシャはそれを受けても眠そうだ。彼女の性格から考えると、復旧を頑張っていたのだろう。まあそれもそれで大切なのだが、ガルグもワケがあって呼んでいる。
だがこのままではリリエも含めてお昼寝会が始まりそうである。そう言う訳でガルグは早々に、授業を始めることにした。
「ではこれよりリリエと部下のための、魔法学の授業を開始する」
ガルグは言うとチョークを使用して、『属性』と黒板に書き込んだ。
「今日の授業内容は属性だ。全員しっかり聞くように。特にリリエ。お前は初心者だ。いきなりあの世行きは困るからな」
「はい。がんばりますガルグ様」
するとリリエがはっきりと答えた。彼女も機兵を造ったばかりで、精神は疲弊しているはずだが。おそらく復讐への一念が、彼女を繋ぎ止めているのだろう。空元気でも無いよりはマシだが、今戦いに行っても死ぬだけだ。
よってガルグは授業を開始した。
「お前達も知ってると思うが、魔法には多くの属性がある。火、水、風、土、光、闇。挙げていけば枚挙に暇が無い」
ガルグはそんなことを言いながら、黒板に属性を書き込んだ。書かれたのはメジャーな物だけだが、それでも十を超える種類がある。
「これらの属性には相性と、種族ごとに得意不得意がある」
ガルグは次に赤いチョークを持ちその属性に丸をつけていった。
光、闇、火、氷、金、雷。
「今丸をつけた属性が、人間が使用出来る属性だ。まあ無論個体差もあるんだが。風が得意な人間も居るしな」
今度は黄色のチョークに持ち替え、ガルグはまたも丸をつけていく。
光、水、氷、風、土、木。
「次にこれがエルフの属性だ。まあイメージ通りな感じだな」
そしてガルグは四人に向け言った。
「これらの属性の魔法を駆使し、複合させて戦闘するわけだ」
「お父様は全部使えますよね!」
「アリス。不規則発言は止めろ」
ガルグは黙らせた上で続ける。
「まあそのアリスの話にもなるが、実は聖剣にも属性がある。もちろん魔剣の方にもだ」
ガルグは青色のチョークを使い、三つの属性へと丸をつけた。光と土、そして金。これが聖剣アリスの属性だ。
「聖剣フィリアリスの属性は、光と土と金で計三つ。使用者はこの三つの属性を、種族に関係なく使用出来る。使いこなせると言い換えても良い」
ガルグはリリエに向かって言った。
「つまり細かいことは抜きにして、リリエはこの三つを特訓しろ」
「はい! ガルグ様頑張ります!」
やる気だけは一人前である。
とは言え授業はまだまだ続く。
「では次は相性の説明だ」
ガルグは四人に続けて言った。
2
石積みの街のその前に、三十を超える機兵が並ぶ。色も種類も統一性が無い混成機兵部隊と言うべきか。しかし二機の機兵を除いては、闇の魔力が纏わり付いている。
闇を纏わないその二機は、ゼイガスに於ける指揮官機である。
「さすがはマドレイ様ですね。これだけの戦力を揃えるとは」
コールが素直な感想を言った。
まず一機目はコールのバーデルグ。ハンマーを持ち、角のある機兵だ。
「世辞は良い。それよりも出立だ」
一方、もう一機の鉄機兵はバーデルグとは対照的である。色は似たようなダークカラーだが、そのシルエットは非常に細い。武器も歪な形状の杖で、イメージは怪しい魔女その物だ。
この機兵こそマドレイの操る鉄機兵『シュリーゼル』だった。
「では号令を……」
「奴らにか? コール。残念だが無駄なことだ」
マドレイが言うと鉄機兵達が一斉に同じ向きに歩き出す。
「ふ。さあお前も奴らに続け。恐れを知らぬ最高の兵士に」
そしてシュリーゼルはその背後から、彼等を追って西に歩き出した。
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