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装虹のエルギア  作者: 谷橋ウナギ
第一章『回帰』

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第十二話 シーン3〜4



 そして、まだ昼に少し早い頃。ガルグは無事、首都へと辿り着いた。すると門はまだ壊れているが、街は煌びやかに飾られている。

 ガルグはバイクを駐車場に止め、その変わりようを見て言った。


「あー。これはまた派手に飾ったな」


 ガルグはティアを連れてその通りを、見回しながらゆっくりと歩く。

 色とりどりに輝くボールやら。草花で作られたリースやら。それだけならまだしも出店までが、ずらりと通りの左右に並ぶ。

 しかし何よりも驚きなのは、ガルグがその中を歩けることだ。エルフと戦争をしていなくても、ハーフは常に迫害されてきた。

 他の都市ならば即刻逮捕。或いは抹殺しにかかられる。

 それが今はひそひそされていても、襲いかかられることはない。


「これはこれで物凄い違和感だ」

「ご不満ですか?」

「いや。悪くない」


 ガルグはティアに問われて返事した。

 若い頃憧れていた物が、今は手の届く距離にある。まあまだ平等にはほど遠いが、それでも驚くべき前進だ。

 などと感慨に浸っていたら、横から面倒なのが現れた。


「あ、お兄様! ご機嫌よう!」


 エルリアが走り寄ってきて言った。


「ガルグか。遅れずにちゃんと来たな」


 となれば当然ミアも側に居る。


「ホーリーコンビのお出ましか。どうだ? 人間との触れ合いは」


 ガルグはそんな二人に聞いてみた。完全に興味本位だが。


「楽しいです! みんな親切ですし」

「まあ悪くないな。新鮮ではある」


 するとエルリア、ミアの順に言った。

 エルリアの方は置いておくとして、ミアの感想は意外な物だ。よほど良いことが有ったのか。単に平和が嬉しいだけなのか。

 まあなんにしてもガルグには、二人よりも大事な用事がある。


「ほーそうか。じゃあな。二人共。悪いが俺には用がある」


 ガルグは言うとエルリアを振り切り、風のように高速で逃げ去った。

 そして広場で周囲を見渡すと、そこには一人の騎士が居た。

 広場の端の少し暗い場所に何故か立ち尽くす一人の男。直接面識は無い男だが、彼がガルグの探し人である。


「お前がアズマの手下だな」


 ガルグはその騎士へと近づくと、そう言って腰に手を当てた。



 美しく飾られた街の中を、王の行列が練り歩く。その先頭にはヘイザーが立って、紙吹雪が延々と舞い踊る。前王が無能だったこともあり、国民はみんな歓迎ムードだ。

 ヘイザーの認知度もあるのだろう。彼が手を振り笑顔を見せる度、主に──黄色い歓声が上がる。

 しかしその様子を屋根の上から、見つめている三人組が居た。全員が目深にローブを被る、ムードに似合わない三人組だ。


「ち。平民共が幸せそうに」

「我々貴族からの比護も忘れ」


 その内二人が文句を言った。

 だが三人目は呑気なものだ。


「そうか? 俺は良いと思うけどな」


 何故なら三人目はもう既に、ガルグにやられていたからである。


「貴様……!」


 二人組も気付いたが、その頃にはもう遅すぎる。


「捕縛魔法・水。からの雷撃波」


 ガルグの魔法が直撃し、二人は水の球に捕らわれた。

 そしてその上に稲妻をくらい、二秒と持たずに気絶する。因みに三人目は屋根の上で、仰向けに倒れのびていた。


「よーしお前ら出て来て良いぞ。奴らを封印して運んでくれ」


 そうしてガルグは三人倒すと、隠れていたサシャとニノへと言った。

 すると呼ばれた二人がジャンプして、屋根の上にスタタと着地する。


「さすが隊長です! 尊敬します!」

「相変わらず、おそろしい人ですね」


 そして二人はガルグを讃えると、早速封印作業にかかる。

 しかしガルグからしてみれば、こんなのは素人も良いところだ。


「貴族崩れのにわか暗殺者が、本職に勝てるわけないだろうが」


 ガルグは言うと通信の魔法で、アズマへと連絡を取ってみた。


「おーい、アズマ。そっちはどうだ?」

「ふん。今終わったが、拍子抜けだな。これならヘイザーでも対処出来た」


 するとアズマから返事が返る。

 どうやらアズマの方も無事、暗殺者を全滅させたらしい。


「そう言うな。せっかくのパレードだ。無粋な阿呆は隠しとくに限る」


 ガルグが屋根から見渡すと、パレードも丁度佳境であった。

 ヘイザーがエルギアの木の前で──国民に向けて言い放つ。


「これから我らはエルフだけでなく、多種族と共に未来に進む。この聖樹はその象徴だ! よって私は今この時を持ち、国名の変更を宣言する! 今からこの国は『ツリーランド』だ! ツリーランド共和国へと変わる!」


 その宣言を聞いた民衆が、一斉に歓声を上げ讃える。そして『ツリーランド』の国名が、国民によって連呼されていく。

 しかしガルグはそれを聞ながら、暗殺者を見て呟いた。


「は。まだなんにも変わってねえよ。変わるとしたら、たぶん百年後だ」


 爽やかな風が吹き抜けて、紙吹雪が空へと舞い上がる。今はただ皆がその美しさに、青空を見上げて酔いしれていた。


第十二話終。及び一章終わりです。

そして二章へと続いて行きます。


ここまででも既に思うところが、色々あったのではと思います。

良いことでも悪いことでも良いので感想評価お待ちしています。

幸い完結済みですので作者のモチベーションにも響きません。よろしくお願い致します。

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