第一話 シーン2
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低い草がまばらに生えた地に、作られた人間達の野営地。今まさにその野営地の中から、鉄の機兵が歩いて出て行った。二つの足で大きく地を揺らし、砂や土を空に巻き上げながら。
鉄機兵──人の作った兵器で、その姿はまるで鎧のようだ。しかし大きさは規格外。10メートルを超える大きさで、城壁すらも容易く下に見る。操縦者はその内部に乗り込み、巨人を自在に操作する。
それが三機並んで出て行けば、その様子は実に壮観だった。
だがその様子を険しい顔で、眺めている一人の男が居た。豪奢な鎧を身に纏う、体の大きな厳つい男。彼の名前はアズマ・ロロドール。レイランド王国、騎士団長だ。
「出撃か? 私の許可も無く」
そのアズマは老人へと問うた。
老人の方はローブを身につけ、いかにも賢しそうなたたずまいだ。
「アズマよ。分をわきまえよ。貴様はあくまで騎士団の長。知る権限の無い事柄もある」
「だがしかし筋は通して貰おう。フレイド・マスダン大臣殿。なぜあの部隊を動かした?」
アズマは腰に刺した剣を抜き、フレイド大臣へと突き付けた。
これは決して脅しなどではない。もしも彼が何も言わない時は即座に首をはねる腹づもりだ。アズマはそう言う人間だった。
フレイドもこれには冷や汗をかき、重い口も羽より軽くなる。
「エ……エルフの新兵器を探る。それが出撃の目的だ」
「機兵部隊をやったと言う奴か。罠にでも、はまったのではないか?」
「それをあの部隊に確かめさせる! わかったら早くその剣を退け!」
「これは失礼をしたようだ。羽虫が宙を舞っていたのでね」
アズマはとりあえずは得心し、ゆっくりと剣を鞘へと収めた。それにフレイドのこの慌てよう。少しは気も晴れたと言うものだ。
しかしまだ一つ不満が残る。
アズマは背を向け去る途中、振り返らずにフレイドへと言った。
「私に言えば取ってきたものを」
「だから貴殿に伝えなかったのだ。聞けば件の機兵部隊には、貴様の孫もいたそうではないか」
「ふん。見当違いも甚だしい。この私が仇討ちに行くと?」
アズマはニヤリと笑って言った。
「私は家などには興味が無い。我求むるはまだ見ぬ強者のみ。闘争こそが我の人生よ」
「戦闘狂め。だがこのような折り、貴様のような者こそ必要か」
フレイドの非難と賞賛を背に、アズマはその場を立ち去った。
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追記─弟の書いてくれた挿絵入れました。




