第十話 シーン5
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ここは王国の最高権威。レイランド王城──接見の間。
だがその元に刃が迫る今、大きな混乱に陥っていた。まだ王は玉座に座っているが、その膝はガクガクと揺れている。
そして彼を挟んでフレイドが、アズマに怒りをぶちまけた。
「アズマ! 貴様この責任をどう……!」
「私の言葉を無視したからだ」
だがアズマだけは冷静だった。
アズマは現在起きていることを、九割方予見していたからだ。
「王。こうなれば仕方ありません。王だけでも先にお逃げください」
アズマは国王に向かって言った。
そして今度は横のフレイドに。
「フレイド。貴様の鉄機兵、バラノアは格納庫で寝ているな? 私にバレないとでも思ったか?」
アズマはフレイドがフレイド用に、機兵を作ったことを知っていた。それも国王に秘密でだ。
だがそれを責めるつもりなどは無い。
「貴様は王を連れてアレで逃げろ。その間私は時間を稼ぐ」
アズマの提案は明快だった。
すると王はそれを聞いた瞬間、目の色を変えてすがりつく。
「アズマ! 助かる! さあフレイドよ! ぐずぐずせずに早く逃げるのだ!」
その判断は軟弱極まるが、同時に至極まっとうなものだ。
国王が倒れれば、国は負ける。それが戦争と言う物である。それはフレイドにも否定出来ない。
「アズマ……何を企んでいる?」
故にアズマのことを疑っても──
「私は王を案じているだけだ。フレイド。貴様とは違うのだよ」
アズマの正論には打ち勝てない。
それにフレイドの性格だ。自身も逃げ出したいはずである。
「良いだろう。国王、まいりましょうぞ」
「うむ。レイランド王国は決して、お前達の献身を忘れんぞ!」
結局フレイドと王は連れ立ち、玉座の裏側へと逃げ去った。
アズマは──それを見送った直後、翻し逆の方に歩き出す。
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そしてアズマは王城前にある、広場に──颯爽と現れた。セレモニーなどに使うため、その広場は中々に広大だ。
だが今は鉄機兵が一機だけ、その中で膝をついている。灰色の布を全身に被り姿を隠した鉄機兵。
「ドラーゼンの調整は終わったか?」
アズマはその鉄機兵ドラーゼン、それを調整中の技師へと聞いた。
彼はまだ若い青年で、ゴーグルとツナギを身につけている。
「騎士団長!? いえ、わかりませんよ。テストも無く出撃するなんて……」
その技師はアズマに向けて返した。
技師とは皆、正直であるものだ。だからこそ技師が務まるのである。
「ふ。だろう。だが貴様らのことだ。私が勝手に信用している」
アズマは笑いながらそう言うと、コクピットに魔法で飛び乗った。しゃがんでいても数メートルあるが、アズマなら特に問題等無い。
ハッチを閉じるとモニターが光り、鉄機兵ドラーゼンが起動する。そして灰色の布を取り払い、その全体を天の下に晒す。
赤い装甲を輝かせ、巨大な剣を担ぐその威容。
「潰れたくなくば貴様も逃げろ。この場所も間も無く戦場となる」
その中で、アズマは技師に言った。
「は! アズマ団長もお気をつけて!」
すると技師は敬礼を一つして、全速力で街へと駆けていく。
アズマはその姿を見送ると、眼下に広がる景色を眺めた。王城は高い場所に立っており、街の全体が見渡せる。
敗北し、倒れた鉄機兵。そして三機のエルフ側の機兵。
「ふ。やはり来たか。そうこなくてはな」
その中の一機。エルギアを見つけ、アズマは笑いながらそう言った。
用事でアップが少し遅れましたー。
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