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装虹のエルギア  作者: 谷橋ウナギ
第一章『回帰』

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第九話 シーン3〜4



 その頃、首都レイランドの近く──一層険しい山の上。首都から見えないよう慎重に、機兵がローブを纏い這っていた。ローブは魔力の放射を押さえ、敵から気付かれにくくしてくれる。エルフの森からこの地まで、夜通し隠れて辿り着いたのだ。

 その機兵達は全部で六機。

 先頭は、ガルグの駆るエルギア。それに続くサシャとニノのククロア。獣人カクの骨機兵ダンダ。最後にエルリアとミアが操る、新型守護機兵がそれに続く。

 エルリアの方は盾と杖を持つ、美しい機兵フレーリア。

 ミアの方はランスを携えた、その姉妹機の機兵アリアール。

 もっとも今はローブで覆われて、全く区別などは付かないが。

 そんな中先頭のエルギアを、停止させてガルグは指示を出した。


「ここまでだな。全機停止しろ」


 すると着いてきていた機兵達も、一斉にその動きを停止する。


「これ以上は奴らに気付かれる。奇襲を仕掛けるならここからだ」


 そしてガルグは説明を始めた。首都を襲うその作戦を。


「全機合図でローブを取り外し、まず山の斜面を一気に降りる。サシャ以外は好きに降りても良いが、サシャ機は俺の後ろについてこい」

「了解です隊長! 頑張ります!」

「転けても起こす暇が無いからな」

「だ、大丈夫です。たぶん、ですけど」


 ガルグに名指しされて、サシャは言った。

 しかしサシャが仮に転ばなくても、他に問題が一つある。


「あのーお兄様よろしいでしょうか?」


 エルリアがおずおずと問うてきた。


「ここからだとまだ首都に遠すぎて、辿り着く前にバレちゃいますけど……」


 彼女の指摘は的確だ。現在居る山から首都までは、まだ一キロに近い距離がある。山を下りる時間も含めると、辿り着くには一分必要だ。

 しかしそれはガルグもわかっていた。


「そうだな。だから無警戒なんだ。おかげでここまで近づけただろ?」


 ガルグは言って説明を続けた。


「山から下りたら俺とカクを盾にして、城壁に走って近づく。これは障壁を破壊するためだ。相手は敵がエルフだと思って障壁を張ってくるからな。破壊するには属性を考え、俺とカクが一番の適任だ」

「ふん。後れを取るなよハーフエルフ」


 すると今度はカクが答えてくる。誰も黙って聞く気が無いらしい。


「お前もな。じゃあ続けるぞ」


 ガルグは躱し更に説明する。


「敵魔法の迎撃はエルリアと、ミア。可能な範囲で構わない」

「はい! お兄様!」

「了解だ」


 ガルグが言うと二人は返事した。

 これで大体説明は終わった。


「城壁の中に入ったら後は、臨機応変に対処する。キングを倒せば終了だ。全員覚悟は出来てるな?」


 ガルグが言うと皆それぞれに、気合いの入った言葉で答えた。


「にゃ〜」


 その中にルルもいた。

 ルルは猫でガルグのフレンドだ。よってエルギアのコクピットに居る。


「お兄様。今ルルちゃんの声が……」

「そりゃするだろ。連れてきたからな」


 ガルグは困惑するエルリアに、言うとエルギアを──立ち上がらせた。


「さあ。パーティーの始まりだ」


 そしてガルグは全員に告げた。



 所は変わって、城壁の上。巡回途中の兵士が二人。雑談の花を開かせながら、呑気にだらだらと、歩いていた。


「あーあ。俺も行きたかったなあ」

「まだ言ってんのか情けない」


 若い兵士と中年の兵士。


「正直言うと俺はホッとしたぜ。あんなデカいのと戦えるかよ」


 中年の方が投げやりに言った。


「情けないのはどっちだっつーの」


 それに若輩の兵士が答える。見解の差は経験の違いか。それとも単に二人の性格か。

 まあそんなことはどうでも良いが。どっちにしろ直ぐに知ることになる。


 ===============


 山の上に立つ機兵が六機。敵はそれにまだ気付いていない。


「全機、ローブを捨てて駆け下りろ! これより王国に奇襲をかける!」


 ガルグはそれを確かめて指示した。

 すると一斉にローブを脱ぎ捨て、六機の機兵が動き出す。ガルグのエルギアも、無論同じだ。山肌を蹴って空中へ。そして次の山肌へと落ちる。それを次々と繰り返し。一気に高度を下げていく。


「きゃあああ!」


 後ろから悲鳴もするが、それを確かめる暇は無い。

 六機の機兵は次々と、平たい草原へと降り立った。ここからは多少起伏もあるが、機兵なら城壁までは走れる。

 もたもたしている暇は無い。


「よし行くぞ。てめえらついてこい!」

「私も前に出るぞ! 後に続け!」


 エルギアとカクのダンダが駆け出し、その後に残り四機が続く。

 するとその直後、首都レイランドの前に魔法の壁が現れた。それを破壊するためのこの布陣。障壁は巨大かつ長大だが、全てを破壊する必要は無い。


「は。障壁を張って来やがった。おいカク。わかってんだろな?」

「当然だ! 貴様こそしくじるな!」


 ガルグが聞くとカクが返事をした。

 そして二人の機兵は障壁に、走り込みながら魔法を放つ。


「くらえ」

「行くぞ!」

「「双炎拳!」」


 エルギアの鉄の左腕。ダンダの骨で出来た右の拳。それらが同時に炎を纏い、巨大障壁に突き刺さる。

 すると割れるような音と同時に、障壁が壊れ穴が開く。


「突入する。全機遅れるな」


 そしてガルグが喋るのが早いか、六機の機兵は穴へと入った。

 後は首都へと突入するだけだ。エルギアとダンダを前衛にして、城壁まで一直線に走る。

 飛んでくる敵兵からの魔法は──


「「風花衝撃波!」」


 撃ち落とす。

 エルリアの機兵フレーリア。ミアの操る機兵アリアール。二機が放った風と花の波動。それが掻き消して敵を薙ぎ払う。

 そして遂に六機は城壁へ。


「吹き飛びやがれ」


 エルギアの蹴りで石積みのそれは、瓦解した。

 その壊れた城壁の横の上。二人の兵士が逃げるのが見えた。


「全機。いよいよ大詰めだ。民間人は出来るだけ殺るなよ?」


 ガルグは二人を見ながら言った。


第九話終。

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