第八話 シーン5
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夜。ガルグはようやく作業を終え、ふらふらになって家に帰還した。既に周りはキラキラしているが、そんなことに気を割く余裕は無い。
とにかく何とか玄関に入り、そこでばったりと倒れて転がる。そして仰向けになって手を広げ、「あー」などと意味もなく呟いた。
すると足音がガルグに近づき、やがて止まってガルグへと告げる。
「お帰りなさいませ。ご主人様」
それはティアで、ガルグの近くに立ち、上からガルグを見下ろしていた。
彼女はスカートを穿いているので下着がガルグからは丸見えだ。もっとも彼女は精霊なので、服と言うより体の一部だが。
「ティアか。パンツが丸見えなんだが?」
「はい。問題がありますでしょうか?」
「さあな。疲れすぎてもうわからん」
ガルグはティアの疑問に答えつつ、ひょいっと体を浮かせて立たせた。
そしてティアにしっかりと向き合って、聞かねばならないことを聞く。それは決戦に赴く前に、はっきりさせねばならないことだ。
「前にも聞いた様な気がするが、お前、前世の記憶はあるか?」
「申し訳ありません。ご主人様。お言葉の意味が理解出来ません」
だがティアは困惑して返事した。
彼女はガルグの精霊だ。ガルグに嘘などつけないだろう。
それに確かに、説明が足りない。
「俺の考えでは、おそらくこうだ。ハーフの俺の支援するためには、全ての属性が必要になる。しかしそんな精霊は居ないから、大聖樹は自前で作り出した」
よって、ガルグはティアへと言った。
「死んだ人間の魂を使い、精霊へと転生させたわけだ。元々エルフには『木の営み』と、言う転生の概念があるしな。死せるエルフの魂は聖樹に、戻り、生まれ変わるというものだ。その力で精霊を生み出した。つまりティア。目の前のお前をだ」
機兵エルギアの元になった物。破壊された鉄機兵の残骸。そこに乗っていた人間が、ティアになったとガルグは疑った。
そしてその人間とはおそらくは、騎士団長アズマの孫である。
「申し訳ありません。わかりません」
しかしティアはガルグに謝罪した。
そんなことはガルグも望まない。
「謝るな。悪いのはこの俺だ。お前には何の罪も無い」
ガルグは言うと、部屋へと歩き出す。だがティアはその背中を追ってきて、ガルグに向かって静かに言った。
「私はご主人様を守ります。ご主人様の事が、好きですから」
きっと、その言葉は真実だ。
しかしだからこそガルグの胸は、棘で突き刺されるように痛んだ。
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