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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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ブリッツォは様子を伺っている

「うん! 流石私、完璧ね。もう大丈夫だよ」


「凄いわ。本当に完治するなんて・・・」


「本当にね。貴女本物の天才だわ」


お久しぶりね?

私はブリッツォ。


ベロニカが来てから何度か治療する様子を見学させてもらったのよ。


この子、なんて事ないように治したけれど、とんでもないわ。恐らくこんな厄介な病例を治せる者はメリルしかいないのではない?


「そもそも私が作り出した秘薬だからね。作った公式を覚えてて良かったわ。メモは山を攻撃された時失くなっちゃったから、私の記憶頼みだったし」


「でも、前よりも身体が軽くなったような気がするのだけど?」


でしょうね。

ベロニカ、貴女は運が良いわよ?


「そりゃそうだね。だって本来ならお姉ちゃんが使って最大の効果を発揮する物を作り変えて、ベロニカさんの身体に合うように変更させたから、その効果が出てるの」


「え?・・・じゃ、じゃあ」


「そ! 秘薬をベロニカ用に変更しておいた。つまり私の秘薬が本来の目的を果たしたって事」


凄いわよね。

貴女長生き出来るわよぉ〜。本来の基礎体力や潜在能力を底上げして、発揮出来る身体に作り変えられたのだからね?そんな秘薬を作り出すなんて、並の人間の為せる事ではないのだけど?


「え? ええ? そんな事して大丈夫なの? これは、ティファにあげた物なんでしょう?」


「そのお姉ちゃんがベロニカさんにあげたんでしょ? 酷い目に合ったんだから貰っといていいと思うよ。寧ろコレは私からの慰謝料です」


最強騎士のティファねぇ?

私は殆ど接点なかったから、よく知らないけれど。当時何かと騒がれてはいたわねぇ。まぁここも前はゴミ溜めみたいな場所だったものね。


ただ、ティファが増やす死体の処理がひたすら面倒だった事は覚えてる。


「ありがとメリル。貴女も大変なのに私を治してくれて。帰ったらティファに貴女の話をしてもいいかしら?」


「勿論! あ、でもお姉ちゃんの事色々言ってた事は秘密にしてね? 嫌がられるから」


「わかったわ。貴女の暮らしの様子だけにしておく。本当に、貴女には申し訳ない事をしたわ。そもそも貴女の住処がなくなったのはこちらの過失もあるのに」


ん? 此方の過失? あらー? もしかしてあの山穴開けたの貴女の仲間の仕業なのかしら?


「フィクスから聞いたのだけれど、貴女達がティファを蔑ろにしたって勘違いしたデズロ様が山に穴を開けてしまったじゃない? 人には当たらないようにしたみたいだけれど、実際被害を受けたメリルはこんな大変な目に合わされて、なんだか複雑だわ」


「・・・・・えっと。つまり、直接攻撃してきたのは、伯父さんなんだね?」


「え? もしかして本人から聞いてないの? 嘘でしょ?」


バタンッ!!


あら? てっきり怒り狂うと思ってたのに、なんか倒れ込んだわね? メリル? どうしたのかしら?


「怒らないの? 貴女デズロ様に故郷を潰されたのよ?」


「・・・何も知らなかった前の私なら怒り狂ったかもね。でも、叔父さんがそう勘違いしたって事はお姉ちゃんからそう聞いたって事だもん。お互い様だよね」


そうかしら?

貴女は、悪くないと思うけど?

他人の私がどうこう言う話ではないけれど。


「メリル、落ち込まないで。きっとティファとまた会える日が来るわ。その時、誤解は解ける。それまでには、私からもよく言い聞かせておくから」


「・・・・うう。ベロニカさん優しい。私、ベロニカさんがお姉ちゃんなら良かったのにぃ」


ティファは優しいイメージが全くないものね?

血も涙もない冷徹女だと聞いてるわよ? 実際味方でも逆らう者は容赦なく叩き斬っていたからね?


「嘘は駄目ね。貴女はティファが大好きでしょう? ちゃんと仲直りして失った時間を取り戻して。貴女はまだ、間に合う。ティファはまだ、生きているんだから」


「・・・・・・・うん。ありがとう、ベロニカさん」


カスバールは、本当に人が住むには辛い場所ね。

弱い者はすぐに奪われ殺される。


それを統治する側が助けたくとも助けられない。

その余力がここにはなかった。


メリル。貴女がここに来るまでは。


私はデズロ様に感謝しているわよ?

だってあの人がメリルの山に穴を開けなければ私達は未だ何の手立ても打てぬまま、ただ荒廃する大地を眺めている事しか出来なかったのだからね?


「ベロニカさん達はいつ帰るの?」


「私とフィクスは、戻る前に私の実家に立ち寄ろうかと思ってる。デズロ様達は分からないけど。サウジスカルに先に到着するのはデズロ様達の方が早いのではないかしら」


「そっかぁ。ご両親のお墓を見に行くの?」


「フィクスが、行こうって。次はいつ此方に来れるか分からないから」


ベロニカは両親が殺されたのがきっかけで宮廷の兵士に志願したそうよ? まぁ、どちらで暮らしていても危険だっただろうし、運良くティファに拾われたから、今まで無事だったみたいだけれど。じゃなきゃ今頃生きてないわ。


「そっかぁ〜寂しくなるなぁ。そういえば二人はいつ結婚するの?」


「ゲフッ!!」


「やぁね? 汚い。いきなり吹き出さないでよ」


「ゲホゲホッ!!ご、ごめんなさい・・・まだ、決まってないの。わ、私の体も治るかわからなかったから、ぜ、全然」


何取り乱してるのよ、こんな事で。

貴女本当にカスバール出身なの? 男慣れしてない感じがビンビンするわよ。


「ねぇ。恋するってどんな感じなの?」


「ゲホォ!!」


「ちょっと! ブリッツォ汚い! 」


貴女、今なんて言った? 恋? 貴女誰かに恋してるの!!

貴女の婚約者は純粋無垢な9歳の子供よね? それとも実は他に相手がいたりするの? どこにいるの? 抹殺してやる。


「な、何? 揶揄ってるの?」


「いや、私そういうの全然わからなくて。家族が好きとかなら分かるんだけど。ただの好きがどうなったら恋になるのかな?ベロニカは、なんでそれがわかったの?」


あらぁ恋バナ?

いいわねぇ、私も混ぜて混ぜてぇ?


「あ、ブリッツォはもういいよね? 帰って」


「酷い! 私も話に混ぜなさいよ!」


「何言ってんの? 男のアンタが女の恋バナに混ざるなんて図々しいよ。中身しっかり男の癖に乙女装うとか、ややこしいキャラやめて」


「存在否定!? 今更? 今更それ言う? 」


子供の頃からのクセなんだから仕方がないでしょ!

メリルが男らしい方が好きなら私だって考えるわよ!


「そうじゃなくてベロニカが話し辛いだろうから、外してくれない? 他にも話したい事あるし」


あ、そういう事ね。

それは察せられなくて悪かったわね。

最初からそう言ってくれればダメージ少なく済んだのだけれど? 本当にメリルはサディスティクガールだわ。


バタンッ。


「・・・・・テット。アンタ何してるの?」


「え? いえ・・・ちょっと耳を澄ましてただけッス」


ちょっと? 壁にベッタリくっついていたけれど?

寧ろ話を詳細に聴こうと必死になっているようにしか見えないわ。


「黙っててあげるかわりに、私も便乗したいのだけれど?」


「どうぞッス、そちら空いてますので」


話が分かるじゃない。

さぁ?メリルは一体誰に恋するとか思ってるのかしら?

詳しくそこんところ聞かせて頂戴な!!

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