テットはちょっとワクワクしている
いや、驚いたッス。
最初から色んな意味で驚いてはいたッスけど。
もしかしたら俺、とんでもない人のお付きになったのかもしれないッス。
「メリル様コレ、この国の領地と古いけど暮らしている人口の記録。これが、最近まで調べて明らかになった記録。・・・・こうやってみると・・・・」
「こんなもんじゃない。もっと死んでる。この辺りの地域は全滅だって私聞いてる。私達が暮らしていた所に比較的近い領土だから。うーん、色分けしようかな?」
鼻歌歌いながら印つけてるけど、この人今から、とんでもない事しようとしてますからね?コレなんて言って実現させるつもりだろ?
「アースポントに触れてどれぐらい私の魔力が減ってるのか分からないから、触れた今、作り始めた方が良さそうだよねー?テニアこの色分けした色の紙を用意出来ないかな?無ければ布でもいい。出来ればもう使わないような、廃棄する物だと助かる」
なんだなんだ?
今度は何するんすかね?
この子ここに来てから俺を驚かせてばかりなんだよね?
規格外過ぎて俺段々と次何やるのか楽しみになってきたッス!
「あ!コレ。言われてた袋持って来たッスけど?こんな大量に何に使うんすか?」
「色々考えてね?いちいちポーションを容れ物に入れてたらコストがかかり過ぎると思って。だから、独自の方法で周りをコーティングしてしまうことにしたの」
ちょっと俺には意味が分からないッスね?
どういう事ッスか?
「だからね?液体状ではなく、個体で周りを覆うの。液体状じゃないと上手く身体に吸収されないから、薄ーく薄ーく伸ばした物でポーションをコーティングする。見てて」
メリル様の手の平の上に何もない所から水の塊が現れたッス!なんで?お、それを幕みたいなのが包み込んだ。
「飴玉みたいッスね?」
「味はポーションよ?ハーブみたいな香り。口開けて」
ハッ!!反射的に口を開けちまったッス!放り込まれた!
「奥歯で噛んでみて。一瞬で消えるから」
お。本当だ・・・。
噛んだ瞬間ハーブっぽい香りと同時に何か、身体に染み渡・・・・・おおおおおお?
「え?疲れが一気になくなったッス!すげぇ!!」
「こんな感じで暫くは身体の免疫を高めて体力を回復させられる。アンタは元気だからその程度だけど、今にも倒れそうな人間が使えばもっと効果が出る。これを千個作る」
いやいやいや。それ、どんだけ時間かかるッスか?
人の魔力を使ってこんな高度な物、作るなんて。
「さて。じゃあちゃっちゃと作っちゃおう!テットは袋を広げて持っててくれる?」
え?今から作るッスか?他に何か用意とか・・・・。
「作り終わったら私、爆睡するから放っておいて。あ、ベッドにぐらい運んでおいてよ?体痛くなるし」
は?何言ってんすか、この人?え?
指で何やら空間に文字を書いてるけど・・・何?
眩しいッス!!
「私が作ったポーション、袋からこぼしたりしたらぶっ飛ばすよ!次の袋の準備ちゃんとしときなさい!!」
ドドドドドドドドドドドドッ!!
ひぇえええええ!!怒涛のポーションラッシュ!!
ちょっ!物凄い勢いでポーションが袋の中に収まってるんですけど!!や、やばい!次の袋!!ぎゃあ!
「アレ?おかしいなぁ?思ったより余裕だ。全然疲れない・・・なんでだろ?」
マジですか?こんな量の魔力を体内から出してるのに?
この子化け物ッス!本物の化け物ッス!
ああ!袋!次の袋!ってテニアなんで横にいるのに手伝ってくれないッスかぁ!!
「貴方、普段役に立っておりませんので、この辺りでもう少しメリル様のお役にお立ち下さいませ。働かざる者、食うべからず・・・ですわよ?」
バレてたッス!
テニアが来たのをいい事に、仕事サボってたのバレてたッス!!ぎゃあーーー!は、早く次の袋!袋プリーズ!!
「すみませんでした!!俺が悪かったですテニアさん!もうしませんから助けて下さいッス!!」
「オラオラオラーーー!!どんどん行くよーー!ついてこーい!」
スピードアップするんじゃねぇッス!!
ひぇえええええ!!助けてーー!!
「素敵!メリル様最高!貴女は私の天使!キャーカッコいいですわー!!」
そんな掛け声はいらない!
メリル様が調子上げてこれ以上スピードが上がったら俺はそれを受け止めきれないッス!
そしてテニアはなんなの?
テニアはメリル様のなんなの?
ファンか? 追っかけなのかな?それとも信者?
うん。しっくりくるッス。
あーーーもう、袋が一杯に・・・・ハッ!袋がない!
「待った!!もう入れる物がないッス!!」
「え!?そんな急に言われても。急には止まれない」
え?いや?じゃあ・・・? ちょーーー!!!!
ドドドドドドドドドドドドッーーーーー!!
「ぎゃあーーーーーー!!」
「ありーーーー?」
「あらあら〜?」
ドドーーーーン・・・・・。
・・・・・ちょっと・・・本当に勘弁して欲しいッス。
どんだけ魔力多いんすか?
「もぅ〜テットの阿呆。なんでもっと早く言わなかったのよぅ?」
「俺ッスか!?調子こいて出しまくってたのメリル様ッスよね?マジ勘弁して!」
「しょうがないですわメリル様。テットは使えないのですもの・・・・」
「あーーーそだね。しょうがないか?」
俺これでも陛下の側近になれるぐらいには強いんすけど?
グヌヌ・・・腹立つ・・・!
「ま、でも助かったよ。テニアにこれをやらせるのは可哀想だもんね?か弱い女性だし」
はい?だ・れ・が! か弱い女性ッスか?
どこ?どこにそんな人います?
「そんな・・・なんてお優しい・・・そんな事お気になさらないで下さいませ?私メリル様の為でしたら・・大抵の事はやりますわよ?」
あ。なんでもやると言わない所に俺は、共感を受けたッス。意外と正直者で安心したッス。




